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あんのん基金

平成27年3月10日

バングラデシュ、チッタゴン丘陵のレイプ・DV被害女性の支援活動

jumma Net

団体名:jumma Net

事業名:バングラデシュ、チッタゴン丘陵のレイプ・DV被害女性の支援活動

支援金額:16万1700円(平成27年3月)

【団体紹介】

バングラデシュ、チッタゴン丘陵地帯における先住民族とバングラデシュ政府との間で続いている対立を緩和し、具体的に平和を促進するために、有志が集まり2002年3月に設立されました。

【活動内容】

バングラデシュ、チッタゴン丘陵問題を日本国内で伝えるとともに、紛争解決と和解促進のための話し合いの場作り、襲撃事件発生時の緊急支援、また紛争によって被害を受けた人々の支援を行っています。特に先住民族の中でもさらに弱い立場に置かれた女性と子どもを対象に、現地NGOの活動支援や、親を亡くした子どもたちへの奨学金支援などを行っています。

【支援事業について】

1997年の和平協定で少数派のジュマ側は武器を手放したにもかかわらず、協定にあった軍の撤退は行われませんでした。こうした状況下で、この地域でベンガル人入植者、軍関係者によるジュマ女性へのレイプ被害も多発するようになりました。この事業では、レイプ・DV暴力事件の被害者を対象とし、事件発生直後の「被害女性の保護と医療サービス」「事件の証拠・証人集め」、その後「被害女性の精神的ケアと保護」、本人の意思に基づく「法的手段への支援」をセットにした「包括的な被害者支援」を、チッタゴン丘陵県のカグラチョリ県で、レイプ・DV被害者へ行うものです。

1.モニタリングと調整

(1)活動地域の活動にかかわる女性団体・女性活動家の調整会議を毎年4回実施する。

(2)6か月後に地域レベルのプロジェクト調整会議を1回実施する。

(3)女性の暴力に関する反女性暴力チームを設置する。このチームは弁護士、メディア関係者、教員、公務員、女性リーダー等によって構成され、チームのメンバーは、政府当局、裁判官、医師、警察、弁護士と良好な関係を保ち、すべてのレイプ事件、暴力事件が正当に裁かれるよう尽力する。

2.啓蒙活動、研修、ワークショップ、女性集会

(1)10月15日の「World Rural Women Day」、11月25日の「International protection of Violence against women day」、12月の 「Begum Rokeya Day」 と 3月8日の 「International Women Day」に関係者が参加する。

(2)年1回の女性人権活動家100名、組織関係者が中心となり、2日間にわたりそれぞれの活動内容や、女性の権利に関するテーマ、暴力事件等に関してディスカッションを行い、解決策と行動計画を作成する。

(3) 反女性暴力チームのメンバーと伝統的リーダー(Headman)を対象にする女性の権利と暴力に関するワークショップを実施する。

3.法的支援、医療支援など

(1)レイプ・暴力事件発生時、担当スタッフが現場に出向き被害者とその家族、目撃者等から聞き込み調査を行い、報告書を作成、被害者が訴訟を起こす際の資料の一つにする。また、事実誤認などがないようにメディア、関係者と情報共有を図る。

(2)暴力やレイプの事実病院で認めさせ、医学証明書の発行のサポートを行う。

(3)被害者が法的に訴える意思が明確な場合、法的手続きなどの支援を行う。同時に、脅迫や二次被害を受けないように、シェルターなどに一時的に匿う。

(4)被害者が示談を希望する場合、交渉と立ち合いへの支援をする。

(5)被害者が地域や家族に偏見なく受けいれられるよう、関係者への教育や働きかけを支援する。

4.被害者へのリハビリテーション支援

(1)事件直後、肉体的な傷病の治療サポートを行い、これらの治療費の一部を支援する。また1週間から1か月にわたり精神的なサポートを実施する。

(2)訴訟を行う場合、二次的な暴力に巻き込まれる可能性があるため、2か月から6か月ほどシェルターに一時的に保護する。

(3)治療や法的な対応が一段落すると、家族や地域に受け入れられにくいこともあり、経済的に自立、もしくは自力で生活ができるよう職業訓練(2か月から6か月 主に縫製・パソコンの訓練等)、自立のための経済支援も行う。これはカグラチョリのみで、毎年5名の被害者に対するサポートを予定で、期間はそれぞれ内容によって異なる。

(4)レイプ事件の調停には最低でも半年の時間を要する。その間、安全な場所に身を置き裁判に集中できるよう、シェルターを提供する。

【社会へ向けて】

軍の支配下で、法的な措置が十分な効果を上げられておらず、レイプ被害者の多くは、泣き寝入りすることが多いのが現状です。特に相手が多数派のベンガル人、軍人であるときは当たり前の状態になっています。また、被害後に社会的に疎外され、自立した生活が難しくなる女性に対して、生活復帰の機会を生み出します。そして、同様な状況にある他の地域でもこの事業がモデル事業となり、広範囲な影響を与えることに意義があると思っています。こうした活動を通じて、チッタゴン丘陵地帯で女性が誇りと自信をもって生きていける環境を作り上げられると思っています。

 

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