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あんのん基金

平成29年5月

東ティモール学校保健プロジェクト

シェア=国際保健協力市民の会

【団体名】特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会

【事業名】東ティモール学校保健プロジェクト 評価及び計画策定事業

 

【団体紹介】

1983年に日本で生まれた国際保健NGOです。すべての人が心身ともに健康に暮らせる社会を目指し、“いのちを守るひとを育てる”保健医療支援活動を、アジア・日本で進めています。

 

【活動内容】

これまでアフリカやアジア地域で活動を行ってきましたが、現在はカンボジアと東ティモール、日本で活動しています。カンボジアでは母と子の健康改善を目指した母子保健事業を、東ティモールでは学校での保健教育を推進する学校保健事業を、日本では医療通訳派遣や電話相談など在日外国人支援事業を行っています。

【支援事業について】

◆学校保健活動の背景

【プロジェクトの背景となる社会的課題】

東ティモールは独立後15年が経ちますが、子どもたちを取り巻く保健や教育の環境は依然として多くの課題を抱えています。当会がディリ県のほぼ全校(98校中92校)で2016年に実施した学校保健実態調査からは、トイレや手洗い設備などの衛生環境が整っている学校は全体の35%程度でした。保健の授業は90%以上の学校で実施されているものの、児童生徒の保健の知識は低いことが分かりました。その理由の原因としては、教員の保健知識の不足、適切な副教材の不足などが挙げられます。

 この様な状況の改善を目指し、当会では2009年からエルメラ県とディリ県の小中学校において、保健教育の普及と衛生的な学校環境づくりを目指して活動しています。

 

【写真】学校で水が出ないため、家庭から水を運んでくる児童たち

◆あんのん基金でいただいたご支援

保健授業の質向上を目指し、保健の知識を十分にもたない教員でも活用できる、小中学校生徒用学校保健フリップチャート教材の作成と県内全98校へ配布をします。当国の子どもが罹りやすい病気に加え、学童期の子どもの成長に関わるトピックに関する要点、イラストを多く取り入れ、文字が読めない低学年の児童にも理解できる内容にします。フリップチャート教材は教員のみならず、児童保健委員会の子どもたちでも使いこなせるため、子どもから子どもへの保健教育にも活用します。当会は長年東ティモールでの保健支援活動で、様々な保健教材を開発してきました。特にフリップチャート形式の教材は、学校のみならず、村での保健活動や保健医療機関等、幅広く活用され、使いやすいとの高評価を得ています。本助成金で、学校用に学童期の子ども向けの内容に絞った改訂版を作成し、各学校に配布することで、より効果的な保健教育を提供できます。

また、全校への配布後は教育省の学校巡回指導員により学校の定期的なモニタリングを行い、教材の活用状況の把握や、使用方法のフォローアップを行います。

 

【写真】フリップチャート教材を使った児童保健委員会による啓発活動

 

【写真】教員研修で、フリップチャートの活用方法を学ぶ小学校教員

【写真】学校巡回指導員による児童の衛生状態のモニタリング

 

◆2017年現在の活動について

当会では2015年から3か年計画で、教育省と保健省とディリ県の全98校での保健活動の推進と、実践的な学校保健のシステム作りに取り組んでいます。プロジェクトで目指しているのは、ディリ県の全小中学校で保健教育や活動が行われ、子どもたちが衛生的な環境で学校生活を送れるようになることです。また、ディリ県での実践を基に、全国で実施可能な学校プログラムづくりにも取り組んでいます。主な活動として、学校保健活動の実施手引き作成、学校保健関係者会議の実施、保健教育を担える人材の育成、各学校での保健衛生活動の推進などを行っています。

 

【社会へ向けて】

21世紀初の独立国である東ティモールは、いまアジアで一番新しい国です。

国民の4割が貧困層ですが、平均年齢は18歳と若い命に溢れています。今なお、下痢やマラリアなど予防可能な病気に罹り、時には命を落とすこともあります。

新しい国の未来を担う子どもたちが、心身ともに健康で学業に励むことができるように。

シェアはこれからも政府とともに東ティモール初の学校保健制度の確立と普及に取り組んでいきます。

活動の最新情報は、当会のブログやFacebookで日々更新しています。ご覧いただければ幸いです。

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