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今を生きる法華経の智慧:仏教のエッセンスがつまった人生の良薬―法華経

第1章 みんな一人ひとりが仏になれる

法華経は、数ある仏教経典の中でもお釈迦様の教えの集大成と言われる経典で、第一章から第二十八章で構成されています。

前半部分の中心となるお経「方便品第二」には、みんな一人ひとりが仏になれる、そしてどのような人でも「仏の心」(仏性)が備わっていると説かれています。人だけではありません。動物も植物も大地も、全ての生きとし生けるものに「仏の心」はあるのです。

"自分"の心の中を考えてみても、そのなかにはさまざまな側面が存在していることに気がつきます。お釈迦さまは、私たちの心のなかに10の世界が備わっていると説かれました(十界互具)。それは「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上・声聞・縁覚・菩薩・仏」の世界。これらのそれぞれが、お互いに関わり合い、私たちの一つの思いを成り立たせているのです。

たとえば、あなたが電車のなかで席に座っていたとします。そこに身体の悪いお年寄りがいたら、「席を譲ってあげよう」と思うでしょう。それが仏の心です。でも一方で、「今日は疲れているから、見て見ぬふりをしよう」と思うときもありますよね。それは悪い心が表れているのです。もちろん、人の心はいつも一定ではありません。だからこそ、その仏の心を少しずつ大きくしていくのが、仏教に生きるということ。善いことをする、悪いと思ったことはしない。とてもシンプルですが、仏になるとは、そういうことです。

そんな全ての仏さまに感謝し、手を合わせるのが、日蓮聖人が説いたお題目=「南無妙法蓮華経」の世界です。「南無」とは、一心に仏を信じることで、「妙法蓮華経」の五字には、お釈迦さまが多くの人を教え導いた智慧と慈悲の功徳が、全て備わっているといわれています。全てに備わる「仏の心」を信じ、この「南無妙法蓮華経」のお題目を口に出して唱えることで、自分のなかにある「仏の心」をも呼び現していこうとしているのです。