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宗務院からのお知らせ

宗務院

第3回 地域社会のためのお寺の活用アイデア募集  結果発表

第3回 地域社会のためのお寺の活用アイデア募集

 結 果 発 表

 

主催者より

地域社会のためにお寺ができることは何か―
お寺を舞台にした元気な地域コミュニティをみんなと一緒に考えよう!という趣旨で始まったアイデアコンペも第3回目を迎え、今回は平成25年10月1日~12月10日まで『過疎化に悩むお寺を元気にせよ!』と『地域×コミュニティ×お寺!』の2つのテーマで募集しました。今回もたくさんの大学生を含め、幅広い年代、職業、地域から、たくさんの素敵なアイデアをご応募いただきまして誠にありがとうございました。
今、日本は少子高齢化や限界集落の増加、さらには2050年に一億人を下回ると言われる人口減少など、誰も経験したことのない人口変動の激しい時代に向かっています。今こそ、地域とそこに住む人たちのコミュニティの在り方が問われている時代はないでしょう。
しかしその地域に住む人たちが、地域に誇りを持ち、共に支え合い、笑顔あふれるコミュニティの中で生きていくことができれば、新しい時代は明るく心地よいものとなるでしょう。
応募作品の中には、みんなで地域社会を盛り上げたい!そのためにお寺がこうあって欲しい!という皆さまの熱い想いがたくさん込められています。
お寺が地域社会に根ざした人々の生老病死に寄り添い、「地域の縁側」となれるように、これから皆さまからいただいたアイデアとお寺が出会い、一つでも多くのアイデアが実現することで、地域社会とお寺が活性化し、日本中にたくさんの笑顔が生まれることを切に願っています。
以下の通り、審査の結果、受賞者が決定いたしましたので発表いたします。

第3回 地域社会のためのお寺の活用アイデア募集
【応募総数】286通
【審 査 日】平成26年1月30日
【審 査 員】
福留 強氏(聖徳大学生涯学習研究所長、NPO法人全国生涯学習まちづくり協会理事長)
松村 和順氏(寺子屋ブッダ事務局、「百人組」代表取締役)
のかた あきこ氏(旅ジャーナリスト)
中條 暁仁氏(静岡大学教育学部准教授)

 

 

テーマ1  「過疎化に悩むお寺を元気にせよ!」

 

人口減少や少子高齢化等、過疎化の影響を受けて厳しい現状にある「過疎地域のお寺」を地域とともに活性化するアイデアを募集しました。

【審査基準】
・ 過疎地域への活性化の効果
・ 過疎地域のお寺への活性化の効果
・ アイデアの独創性・実現性

【受賞作品】

大 賞

該当作品なし

 

優秀賞

「ほっこりお寺に里帰り」~地域みんなが一つの家族
アイデア作品

応募者:今井 さつきさん(奈良県、学生)

【審査員からのコメント】

・「地域の人々の手で大切に守り伝えられてきた、日々の暮らしに寄りそうお寺」(企画書から抜粋)で、旅人をもてなし、”こころのふるさと”にしてもらおうというアイディア。遠い昔も、旅人をお寺でもてなすということがあったのではないでしょうか。企画書にあるように、お母さんの郷土料理や、おばあちゃんの民話など、地域が一丸となって嬉しい体験を提供してくれたら、その地域のファンになるのは間違いありません。経験価値を大切にする現代人にもマッチした魅力あるアイデアでした。

・まず、「里がえり」という言葉に、人の心を和ませるものがあると感じました。そしてお寺の位置づけを「皆の故郷」としているところがいいと思いました。お寺が、地域住民はもちろん、多くの人の心のふるさとになるために、何をするべきか。「お寺ステイ」と名付けられた滞在プランは具体的で、集客のためのPR方法まで提案してあり、素晴らしいと思いました。大学で地域活性について学ぶ女子学生からの応募でした。日々真剣に学んでいることが伝わる文章とイラストに、審査員一同、“ほっこり”しました!

・ただ泊まるだけでなく、その地域、お寺ならではの体験を、自分の好きなコースにあわせるというもの。希望のコースが設定されていなければなりません。イラストとともに夢が描かれています。内容は新しくはありませんが、組み合わせることにより変化が生まれると思います。

・都会に転出した人々が、帰郷した際に在郷の人々とともに集うことのできる寺院づくりの提案です。家族や地域社会の構成員の規模が縮小し、居住地域の分散化が進んでいる過 疎地域では、社会的結節点(社会関係の結び目)をいかに創出するかが課題となっています。本提案は、寺院を転出者と地元住民を結ぶ広域的な社会的ネットワークの結節点として評価するアイデアといえます。

 

優秀賞

失恋旅行
~俗世も煩悩もBYEBYE☆BYEBYE 厄払いで元気をゲットだぜ!
アイデア作品

応募者:進 美影さん(東京都、学生)

【審査員からのコメント】

・旅行する動機に、”気分転換”や”癒し”をあげる人が圧倒的に多いという統計があります。まさに、お寺は、日常から離れて”気分転換”をはかる場であり、自律的な本当の”癒し”を与えてくれる場だと思います。失恋によって心に残ったネガティブなマグマを、お寺でポジティブなパワーに変換できれば最高ですね。失恋市場というマーケットを定義したところにもセンスの良さを感じました。

・カップル市場、デート市場があるのに失恋市場がないのがおかしい、という意見。

実態はともかくユニークなアイデアに賛同します。失恋旅行に、スペインや、イタリアに行った学生を2~3知っているが、彼女〈彼?〉の心を癒す仕掛けが、やはり必要でしょう。

・「カップル市場やデート市場があるにも関わらず、失恋市場がないのはおかしい」という発想がユニーク。過疎寺院には失恋を癒すための、静かで落ち着いた環境があると結びつけたアイデアが面白いです。旅行プランでは精神修行や学びのスケジュールもあります。好奇心旺盛な若い世代に向けた、興味深い内容だと感じました。これも女子大生からの応募でした。「婚活や恋活ばかりがもてはやされて、恋が実る人がいれば当然うまくいかなかった人も多くいるはず」、という視点に、審査員一同、感心しました!

・山間地域を多く抱える過疎地域の人里離れた寺院で、恋愛で傷ついた心の回復を図ろうとするユニークな試みです。宿坊として開放されている寺院は心の癒しをテーマとしていることが多いのですが、これに近い発想といえるでしょう。しかし、過疎地域でこの試みを実践するところに本アイデアのポイントがあり、域外来訪者を獲得するツーリズム的な手法を提案しているといえます。

 

入 賞

お寺 de ダイエット
アイデア作品

応募者:蛭田 優一さん(埼玉県、学生)

【審査員からのコメント】

・心身ともにダイエットしよう!というお寺だからこそできるダイエット企画です。お寺を、ココロとカラダを調える場と捉えると、都会の喧噪から離れた自然豊かなお寺が非常に魅力的な場所に見えてきます。更に、食事に地元のヘルシー食材を利用するなど、その地域ならではの演出が加味できると、オリジナル感が高まりリピーター(笑)も増えそうです。私も4半期に1回は通いたいです。

・女子大生が3泊もお寺にダイエットのために参加するかという点が問題です。ただし、もし来るとすれば、ダイエットには成功すると思われます。女子大生を甘く見てはいけません。かなり打算的だし、かなり魅力を演出しなければならないと思われます。

・こちらも大学生からの応募でした。「対象者は首都圏女子大生、期間は3泊4日」という明確なターゲット設定は集客力の第一歩です。自然豊かな過疎寺院を舞台に、心身のリフレッシュとダイエットを目指しているところに好感が持てました。「大学生である自分自身の周りに、お寺に興味がある人がいない。お寺の持つ魅力をうまく若者に伝えたい」というコメントが印象的でした。

・寺院とダイエットという異色の組み合わせに新鮮さを感じました。特に、大都市圏に居住する女子大生を対象としている点がポイントになるでしょう。過疎地域では、内発的発展を創出するためにツーリズム事業に取り組む自治体が多く存在します。寺院をその資源に活用しようとするアイデアとしてもみることができます。

 

入 賞

お寺でタイムカプセル
アイデア作品

応募者:後藤 宏旭さん(岐阜県、学生)

【審査員からのコメント】

・寺院は過去から未来に向けて地域社会に寄り添い続ける存在です。それゆえ、学校の同窓生たちの思い出を託すことのできる存在でもあります。本アイデアは、寺院が本来持っている性格を活用した提案として評価できます。過疎地域では、高校進学を契機に域外へ転出し成人式に再び帰郷する人も多いことから、中学卒業から成人式までと時間を区切っている点も良いアイデアだと思います。

・中学卒業時にお寺にタイムカプセルを埋めて、5年後の成人式でそれを開け、地域みなで成人のお祝いも行うというアイデア。「一度町を離れた若者が地元に帰りたいとおもえるようなキッカケになれば」「お寺が近所にありながら、足を運ぶ機会がない」「幼いころから自分達のことを知ってくれている近所の方達に祝ってもらえる思い出づくり」という思いが込められています。この企画は、ふるさとに人が集まるきっかけを作り、同時に地域の過去と未来と現在を考える場にもなる素晴らしい提案です。過疎寺院での活用はもちろんですが、都会の寺院でも使えるアイデアであると審査員一同盛り上がりました。

・企画された方が、お寺こそ”まちの大切なものを保存する場所”であると考えていることに感動しました。お寺ってそういう場所ですよね。このイメージがいつまでも共有できる日本でありたいです。一人一人の”願い”が未来を作っていく。大切だけど忘れがちな視点を思い起こさせてくれる企画です。

・お寺を思い出の地にするために、タイムカプセルは、お寺が地域の中心的な存在になるためにすぐに実行可能です。小中学校の最上級学年の学級担任に相談してみるとよいでしょう。学校単位などとすれば、うまくまとまらない場合も予想されます。子ども会などでもよい事業になると考えます。

 

入 賞

世界へ向けて「日本への弟子入り」を募る「TERAツーリズム」
アイデア作品

応募者:角田 健司さん(東京都、公益法人勤務)

【審査員からのコメント】

・お寺は「日本のこころの哲学を伝道する」場であると捉え、国際交流の拠点に活かそうという「TERAツーリズム」のアイデアです。東京五輪開催決定で、世界中から「日本のおもてなし」が注目される昨今。日本に興味のある外国人を招き入れ、日本文化を学びあうことで、地域の魅力、日本の魅力が見えてくるように感じます。双方の思いをつなぐ窓口の役割が重要で、受け入れ先はお寺だけでなく過疎地域全体という意識が大切です。

・アジア各国からの観光客が増加し、さらにオリンピックを控えるなど、外国人が増加すると考えられます。外国人には寺は抵抗がありません。そこで、日本の心を知る拠点としての滞在型のアイデアとしたところが、実践的でした。

・”日本のこころ”を外国人に過疎地のお寺体験で学んでもらおうというアイデア。韓国にはテンプルステイという類似したプログラムがあり、韓国観光公社によると2002年から9年間で10万人以上の外国人が参加したそうです。実施には、集客面や人材面の問題がある他、宿泊のための環境をどうするか?というハード面の問題もあるため、過疎地のお寺にとっては取り組みにくい状況もありそうですが、宗門のネットワークで全国的に探せば実施できる過疎地のお寺もありそうです。できるところから実施し、モデル化できると良いと思います。

・現代の過疎地域では、地域経済の空洞化に伴いツーリズムを介した内発的な地域づくりが各地で展開されています。本アイデアは寺院をツーリズム開発の資源としている点に独創性があります。また寺院という伝統的な文化を内包する性格上、異文化交流という観点から外国人を対象としている点もユニークで、さまざまな面で応用が期待できそうです。

 

入 賞

お寺インターンシップ
アイデア作品

応募者:中田 美麗さん(大阪府、学生)

【審査員からのコメント】

・都会と過疎地域を結ぶ鍵は、発想力豊かで活動力のある若者にあります。そうしたやる気ある若者が、あらたなものをつくりだす場として過疎寺院に滞在する。「インターンシップ」という言葉に、ポジティブな魅力を感じました。静かな学び場、ココロのリフレッシュとしての場、アイデアが生まれる場。より具体的なプランがあるといいと思います。ヒントは人と人との交流(「お寺の住職と」「地域の高齢者と」「地域の小学生と」)にあるのだと感じました。

・都会から過疎化した地域へ、悩める若者がお寺に数日間滞在し、住職や地域の高齢者や子どもとふれあいの場を持つというもの。問題は、若者を行かせるにはどうすればよいかということでしょう。インターンシップのよいところと、最大の難問をかかえています。

・若者がお寺の手伝いをし、人と人とのふれ合いの中から、若者本人も、お寺も、地域の子どもたちやお年寄りも、皆元気にしようというアイデア。お寺が、自分の存在が誰かの役に立っているという実感を得られる場や、自分を再起動できる場になることはとても意義深いことだと思います。この助け合いのコミュニティが回りだすための道筋を更に具体的に考えられれば更によい企画になると思います。

・寺院を人々の精神的な拠り所として再評価しようとするアイデアです。特に社会人への仲間入りを目前に控えた大学生を対象としている点は、過疎地域にとっても魅力的でしょう。特に地域住民の多くを占める高齢者との交流に注目している点はオリジナリティがありますし、好感がもてます。人生経験豊富な高齢者たちとの交流の思い出は、社会に巣立った彼らにとって再び帰ることのできる新たな故郷となるでしょう。

 

総 評

福留 強氏

お寺に関する応募者の期待や、お寺への夢の広がりがあることを感じました。
ただ、過疎地域のお寺に与えられている条件(現状)把握が不足しているように思われます。お坊さんの高齢化や、地域の人々も無力感がある等の条件を、念頭に置かなければならないでしょう。これらの実現のために最低限、なにがなければならないかの検討が必要です。若い人の応募が多いことが、今後に期待が持てそうです。

松村 和順氏

たくさんの応募アイデアを読ませていただいて、「お寺という場所は、みんなの善意がひとりでに集まってくる場所なんだな」と改めて思いました。地域外から人を呼ぶアイデア、地域内のコミュニケーションを豊かにするアイデア、どのアイデアも地域の人々が協力し合うことで実現されるものです。自分のことはさておいて協力し合える場がお寺であるとすれば、お寺が地域活性の拠点になることは非常に意義あることだと思います。お寺を拠点にした”まちづくり”モデルに期待したいです。

のかた あきこ氏

20代の応募が多く、ふたを開けてみると受賞作品のほとんどが20代によるアイデアでした。それも女子大学生が多く、地域活性を積極的に学んでいる現状がみえます。「大学生である自分自身の周りに、お寺に興味がある人がいない。お寺の持つ魅力をうまく若者に伝えたい」というコメントが印象的でした。若い人達は大人達よりも、地域の未来やコミュニティに関して危機意識を強く持っているようにも感じます。都会と過疎地域を結ぶ鍵は、発想力豊かで活動力のある若者にあると感じました。その力を応援する大人達の役目も重要であると感じます。

中條 暁仁師

現代の過疎地域は、高齢社会化に伴う「限界集落」化の懸念に加えて、構造改革やグローバル化による社会経済的な再編成に直面しています。具体的には、「フードデザート」をはじめとする生活環境の悪化、緊縮財政政策下における平成の大合併や公共投資の大幅な削減、食糧供給の輸入依存による第一次産業の衰退、工業生産の海外移転など、過疎地域には従来の外部依存的な社会経済システムからの変革が求められているのです。そのため各地域では内発的な地域開発が進められ、「住民参加の地域づくり」や「新しい公共」、あるいは「ソーシャル・キャピタル」などといった概念に基づいた新しいコミュニティの形成が取り組まれています。このような過疎地域の現状をふまえて、本部門では100通近くの提案を審査させていただきました。入賞したアイディアは、いずれも過疎地域の現状をふまえて地域社会の維持あるいは再生を目途とした提案となっていました。しかしながら、モチーフは素晴らしくても、手法や手段といったアイディアを実働に移すロードマップが描き出されておらず、大賞の選定には至りませんでした。今後は過疎地域の特性にあわせて、どのように寺院を生かしていくのかという点を明確に示したアイディアを期待したいと思います。

 

 

テーマ2  「地域×コミュニティ×お寺!」

 

お寺を舞台にして地域社会(地域×コミュニティ×お寺)を活性化するアイデアを募集しました。

【審査基準】
・ 地域社会への公益性
・ (地域・お寺への)活性化の効果
・ アイデアの独創性・実現性

【受賞作品】

大 賞

「リトルブッダ」結成プロジェクト
~子供の健全な育成と地域活性化を目指して
アイデア作品

応募者:熊崎 朋宏さん(東京都、個人事業主)

【審査員からのコメント】

・小学校低学年の子供達がお寺での学びを通して、「リトルブッダ」となり、地域活動に取り組む試みです。都会では特に失われつつある、「地域社会で子供を育てる」ことにつながるアイデアだと思いました。提案者ご自身のお寺での思い出から生まれた発想です。「私が幼い頃、近所にお寺があった為、お坊さんに多く接する機会がありました。『親にもらった体は大切にしなさい』『小さな虫にも命がある』など、お坊さんはやさしく諭してくれました。大人になっても忘れません」。「リトルブッダ」というネーミングに惹かれましたし、募集方法から活動内容まで具体的に示しているところがよいと思いました。

・かわいいリトルブッダたちが、まちのマスコット的な存在になるのが目に浮かびます。地域活性をゆるキャラに頼る時代はもう結構!と思っている方も多いのではないでしょうか?私も子育て奮闘中ですが、”子どもにとって良い”と思える環境は、親にとっても大変魅力的なもので、住環境を選ぶ大きな要因になっています。人口減少に悩む地域にも十分に有効な企画だと考えました。

・プロジェクトの内容がすばらしい。ただ、公的な機関が協力はしないということを銘記すべきです。特定の宗教への協力とみなすからであり、また、親の宗教観もあり、さらに公民館など、公的な社会教育施設としては社会教育法に抵触すると考えられるからです。これらの課題をクリアするか、個別に参加者を募れば実施可能でしょう。

・現代の教育問題にアプローチするアイデアとして評価しました。いじめをなくすのではなく、いじめをしない人間を育成するというモチーフが本アイデアにあることに魅かれました。「リトルブッダ」というネーミングにも好感がもてます。幼少期から寺院の環境に親しむ活動を展開することは、「寺離れ」が進む現代にあってとても重要な試みといえます。

 

優秀賞

地域×留学生×お寺
アイデア作品

応募者:関 達也さん(新潟県、フリーデザイナー)

【審査員からのコメント】

・「留学生の好奇心・発想・知識・行動力は素晴らしく、日本の生活・文化・社会に強い関心を持つ。その力を地域社会に結びつけよう」という発想のもと、生まれたアイデアです。留学生と地域住民との交流の舞台をお寺に設けることで、双方に気づきと学びが生まれます。それ以前に、来訪者を地域全体に受け入れることは、昨今キーワードとなっている、「おもてなし」、つまりはおもいやりの心を育てることにもつながります。様々な可能性と期待を込めて、優秀賞に選びました。日本に訪れる外国人旅行者は現在、過去最大となり、今後も増え続けることが期待されています。あわせて、日本文化を学びたい外国人も、アジア圏を中心にして増加しています。双方刺激しあえるプログラムになるはずです。いずれにしても、地域と留学生とお寺を結びつける窓口の役割が大切だと感じます。例えば、大学との連携など。

・留学生を巻き込んだ寺づくりというユニークな試みです。近年の大学ではアジアからの留学生が急速に増加しており、文化的コンフリクトに苦しむ留学生も少なからずいます。そんな彼らを寺院がサポートし、地域社会を巻き込むことによって国際理解の拠点にしようとする点がポイントです。また仏教寺院はアジア諸国に広く分布していますから、留学生にも受容しやすい場になると思います。

・留学生への各種相談の場、日本語授業、日本の心を学びつつ地域との交流を広げることは必要であり、お寺にとっても、その機能を有しているので実践可能でしょう。観光立国、外国人の増加などに対応する、地域ができる効果的な策ではないでしょうか。

・留学生をサポートするばかりでなく、留学生の力を地域に活かしていこうという意図が素敵です。私も留学経験があるのですが、留学生自身にその国や地域の文化に好奇心があっても、実際に人々の間にとけ込んで体感していくのは案外難しいものです。その地域の入り口をお寺が担ってくれたら素晴らしいですね。また、ここで築かれた人間関係は、国際的視野に俯瞰しても”宝”です。是非、大学・行政・お寺、そして、地域の私たちが連携して実行していきたいですね。

 

入 賞

転勤者さんいらっしゃい 平成竹林の七賢 オトナの隠れ家へようこそ
アイデア作品

応募者:宮本 久美子さん(東京都、派遣社員)

【審査員からのコメント】

・転入者と地域を結びつける場としてもお寺を活用しようとするアイデア。私の田舎もそうですが、長らくその地域に住む人々と、新規転入者たちのコミュニティーが分断されているケースをよく聞きます。これでは、地域住民に”ふるさと意識”がなかなか育っていきません。お寺がハブの役割を果たして、ひとつの”ふるさと”が出来上がっていくのはとても意義深いことだと思います。

・「転勤者」をターゲットにしている発想がいいと思いました。不慣れな土地で不安いっぱいの転勤者を、地域のコミュニティを知り尽くしたお寺に招くというアイデア。懇親会や季節のイベントなどを通して、交流を深める。その交流が新しい次の交流を生む! 転勤者にどのように呼びかけるかがまずは鍵となりそうですが、お寺を拠点にして「人の流れをつくる」ことは、地域間の連携、お寺とお寺のネットワークにもつながる素晴らしい可能性を秘めていると感じました。

・よそ者を積極的に誘うという点がまず大切。さらにそうした遊び心についていける住職さんが存在すればの話。お寺にほんの少しのモダンな要素を取り入れれば、と期待しています。「宿泊施設を造る」という点が、厳しい人もいるかもしれません。

・地方から都会へ、あるいは都会から地方へ移動した人々が転出先で社会的ネットワークを構築する場として寺院を位置づけた点を評価しました。転勤者あるいは移動者を対象としている点も独創的です。また移動者を介して地方の寺院と都会の寺院との相互ネットワークの構築、言い換えれば「寺院の都市・農村交流」にも可能性を広げるのではないかと思いました。

 

入 賞

「おてらんど」構想
~「地域」が「お寺」で繋がるコミュニティ
アイデア作品

応募者:スズキ ケンタさん(兵庫県、会社員)

【審査員からのコメント】

・お寺でのイベントを通じて、世代を超えた地域住民に繋がりを持ってもらおうというアイデアはたくさんありましたが、この企画の特徴は、地域の複数のお寺を繋げてイベントを行うというところにあります。年間を通じて、地域のお寺をネットワーク化し、地域が一丸となってイベントを行っていければ、観光的特徴ともなり、まちおこしにもなりうるアイデアだと思います。

・「おてラリー」(ウォークラリー)、「おてライブ」(音楽)、「おてラート」(ギャラリー)、

「おてラン」(マラソン)、とこれまであることを組み合わせただけですが、地域とお寺が協働で総合的、継続的に実施するならば、効果が大きいと思わます。

・寺院が地域社会の中核になっていくための具体的提案が評価されました。地域社会での人々のつながりが薄らいでいる現代ですが、寺院の境内に人々が寄り集まるイベントを作り出そうとする意図がこのアイデアにあります。

・「地域がお寺でつながる」という「おてらんど構想」。ウォークラリー「おてラリー」、音楽イベント「おてライブ」、アートイベント「おてラート」、フルマラソン「おてラン」など、ネーミングがユニークで、楽しげな印象を誘います。ひとつひとつのアイデアは今回のコンペで多く寄せられたものではありましたが、名前ひとつでイメージや興味を湧かせるということは、交流のはじまりやきっかけには必要なことだと感じました。

 

入 賞

お寺を地域の『プラットフォーム』に!
~みんなをマッチングするステキな場所
アイデア作品

応募者:雨夜 真規子さん(大阪府、学生)

【審査員からのコメント】

・「プラットフォーム」というネーミングにオリジナリティを感じました。寺院を介して地域社会における互助(助け合い)を再生し、実践しようとする試みです。ボランティアの地域住民を、寺院がコーディネートするという点がポイントではないでしょうか。寺院や住職が関与することによって、ローカルなニーズに対応することが期待できる提案です。

・地域の”支え合い”をダイレクトに蘇らせようというアイデア。この企画のように人間関係のシナプスを”感謝”で結び直すことができれば、もっと心豊かな生活を送ることができると思います。ただし、このアイデアを実行段階に移していくには、更に具体的な道筋を考えないといけません。更に実行段階のアイデアをブラッシュアップしていただければありがたいです。

・地域の中心に、お寺を位置づける。みんなが集まるお寺として、住民を結びつけるきっかけにしたい、という願いが生かさせる。そのために、お寺と住民が協力することが前提ですが、その試みに挑戦することが、このアイデアの実践へのスタートです。

・お寺が地域の交流拠点「プラットホーム」になるためには、そこに暮らす人々をより多く深く知ることが必要です。「地域住民のできる、できないを住民とシェア」する場としてのお寺。そしてそれを「マッチング」させる場としてのお寺の可能性。それぞれの特技が地域で活かせる機会が増えることは、生き甲斐や安らぎにもつながることになり、活性にもつながります。子育て経験者やお年寄りの知恵に学び、子育てママや子供たちの教育応援に一役かってくれるものと思います。

 

入 賞

お寺で開く「写真で綴る自分史」作成講座
アイデア作品

応募者:寺島 忠昭さん(東京都、年金生活者)

【審査員からのコメント】

・高齢期にある人々が過去を振り返りながら自分史を編んでいく、そんな活動が「終活」を意識したアイデアと受け止めました。また、寺院は空洞化の進む都市地域の社会的結節点を補完する役割を担いますが、本アイデアは自分史を綴る活動を通じてそれを実践に移す具体性のある提案として評価しました。

・「写真で綴る」というのが魅力的です。写真には撮影時の町の姿、撮影者の思いなどがこめられ、言葉以上に人の心に伝わることがあります。地域の記録としての価値もあります。町の記録が、自分や家族や地域の歴史ともリンクしていきます。「地域の絆が深まり、安心・安全な街作り、防犯防災にも役立つ」というコメントがあり、写真をきっかけにする過去からの学びは防災教育にも役立つと考えられます。

・公民館事業ではよく見られる内容なので、お寺でなければならない部分があまり見えません。「地域のお寺と自分」、「お寺の見えるふるさとの風景」などの、お寺がテーマとして加われば、実現できそうです。

・地域に住む一人ひとりが”自分の歩んできた人生”としっかり向き合うことこそが、地域の明日を創っていくための第一歩なのではないか?そんなことを問いかけているアイデア。一人ひとりがお持ちの写真は、地域の宝でもあります。企画者の方自身が講座開催のスキルもお持ちのようなので是非実現していただきたいと思います。

 

総 評

福留 強氏

地域を元気にするためにお寺が出来ることは何か。第1のテーマと基本的には同じかもしれません。この場合、地域側の条件が問われます。すなわち、地域に居る仕掛人の問題です。この仕掛人(リーダー)とお坊さんとのコンビが成功の鍵を握るでしょう。そうした事を考えるとお坊さんと地域のリーダーがしっかりすれば、実現の可能性は高いでしょう。

松村 和順氏

「お寺に求めるだけでなく、地域の人が一緒になって盛り上げていけることはないかと考えた」応募作の中で私が最も共感した言葉です。全くその通りです。どんなにいいアイディアであっても、お寺だけで実現できるわけではありません。私たちも、お寺と協力して地域の未来のために”一肌脱ぐ”意思をもつことが大切なのではないでしょうか?”もちろん、”一緒に楽しむ”という姿勢を大切に。ぜひ、皆さんと一緒に地域とお寺が元気になる素晴らしいアイディアを実現していきたいです。

のかた あきこ氏

お寺は「学びの場」であり、「心身の健康づくり」ができる場であり、「交流拠点」でもあるという意見が今回も多く、お寺に期待する思いの強さを感じます。しかしそれはお寺だけの努力で成功することではなく、地域全体、さらには地域を超えての連携が大切で、留学応援をはじめ国際交流に関しては特に多くのサポートが必要です。ひとりの力でできることできないこと、みんなの力でできることできないこと、お寺を活用すればよりよい効果が生まれる持続可能な活動を、これらのアイデアをきっかけに考える機会が地域に増えることを期待したいと思います。

中條 暁仁師

寺院は地域社会の拠点的な役割を伝統的に有し、人びとが寄り集まり、様々なコミュニケーションや交流を生む場所となってきました。いわば社会的結節点(社会関係の結び目)であり、社会関係を新たに生み出す機能を担ってきたわけです。また近年の都市地域では高齢社会化が急速に進んでおり、それに対応する地域社会の再構築が喫緊の課題となっています。このような観点から、今回200通近くの提案を審査させていただきました。審査する中で、応募者の寺院に対する期待を垣間見ることができました。それらは人々の精神的側面に作用する期待と、社会的側面に作用する期待に大別できるように思います。入賞したアイデアは、寺院を地域社会の中核に位置づけながら本来有する機能の再生を目指そうという試みが多かったように思います。寄せられたアイデアが、地域的特性に応じて実践に移されることを期待しています。

 

参加賞

286通すべての作品を賞し、参加賞として、記念品をお送りいたします。
たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
※後日、応募者全員に参加賞を順次お送りいたします。