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日蓮宗メールマガジン7月号

【今月の法話】

『つながる縁』

昨今、移動手段の高速化や通信手段の充実によって広い日本も狭く感じるようになってきました。また何につけても便利なスマートフォン。
電話はもちろん、食事のお店、宿泊、飛行機、新幹線の予約、はたまた地図や電車の乗り換えまで、これ一つでできます。

さて日蓮聖人御在世当時に思いを致しますと、遠くの人に思いを伝えるのは命がけであったことと思います。誰かがその場に行って、もしくは手紙で物事を伝えないことには伝わりません。

聖人御在世当時の通信手段として鎌倉時代には飛脚などが整備されました。これらの飛脚は馬を用いたもので、京都の六波羅から鎌倉まで最短72時間程度かかります。とはいってもこれは早馬でのことで、例えば佐渡から身延まで歩いて20日あまりかかります。
信者である80歳を超えた国府入道(こうにゅうどう)は、佐渡から20日あまり歩き通し、身延山の日蓮聖人を訪ねられます。身延に行くことのかなわなかった妻の国府尼(こうあま)から託された供養の衣と『想い』を携えて。

その衣を受け取った聖人は、手紙をしたためられます。「日蓮恋しくおわしせば、常に出ずる日、夕べに出づる月を拝ませ給へ」と。佐渡配流時に身を惜しまず給仕した尼に深く感謝し、会いたいと祈り御題目を唱えれば日蓮はいつでもあなたのそばにいますよとの思いを述べてらっしゃいます。遠く離れている信者と、その心を慰める聖人の強い絆がひしひしと伝わる御文章です。

すぐに会いに行けないこの当時。はるばる来て教えを乞うことも大変であるし、手紙を頂くことも大変であったろうと思います。それゆえに聖人と御信者の心の距離は近く、強い絆を読み取ることも出来ます。

恵まれた世に生まれた私達ですが、現代に生きる私達もまた、法華経という絆で結ばれている限り、日蓮聖人の弟子であります。当時に想いを馳せ日蓮聖人を思い、そのご縁に感謝せずにはいられないのです。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

7日  月例金曜講話
13日 お盆迎え火
16日 お盆送り火
28日 いのりの日