ホーム>活動>あんのん基金>スーダンの紛争地域における住民・避難民による井戸維持管理の仕組みづくり支援

あんのん基金

平成28年8月10日

スーダンの紛争地域における住民・避難民による井戸維持管理の仕組みづくり支援

特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター

団体名:特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター

事業名:スーダンの紛争地域における住民・避難民による井戸維持管理の仕組みづくり支援

支援金額:20万円(2016年8月)

 

【団体紹介】

JVCは、人々が自然と共存し、安心・安定して共に生きられる社会を築くことを目的とし、1)困難な状況にありながらも、自ら改善しようとする人々を支援し、2)地球環境を守る新しい生き方を広め、対等・公正な人間関係を創りだすことに取り組んでいます。そのために、環境保全と自給、及び人道・人権保障を基本にした「農村開発」「緊急救援」「平和活動」「市民のネットワークづくり」など、様々な活動を展開しています。

 

【活動内容】

JVCは2016年現在、カンボジア、ラオス、南アフリカ、タイ、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、スーダン、コリア及び日本(東北支援)、合計10か国で活動を展開しています。活動の柱は、1)人々の暮らしを守るための「地域・農村開発」、2)命を守るための「人道支援」、3)対話を通じて平和な社会をつくる政策提言の3つで、人々が自然と共存し、安心・安定して共に生きられる社会を目指して包括的な取り組みを行っています。

【支援事業について】

■事業の背景 – 紛争による大量の避難民流入と井戸設置

スーダンの南部、南コルドファン州で2011年に始まった大規模紛争により、何万人もの人々が身の安全を求めて州都カドグリ市へと流入してきました。国内避難民(以下、避難民)となった人々は、空き家や、空き地に作った仮囲いの家で暮らし始め、郊外にはいくつもの避難民居住区が形成されました。

こうした急激な避難民の流入により、給水施設の不足が大きな問題になりました。また、多くの避難民が井戸に殺到し、地域住民との間で軋轢も生まれました。このため、JVCは2013年から2015年にかけて9本の井戸を新設、うち6本はそれまで全く井戸のなかった避難民居住区に設置しました。

他の援助団体も井戸を新設し、これまでに井戸の不足はほぼ解消されましたが、設置した井戸はそのまま永続的に使用できるものではありません。定期的な点検や消耗部品の交換修理などの保守管理が重要ですが、故障したまま稼働していない井戸が少なくありません。

 

■JVCの活動

人々が継続的に安全な水を得るためには、住民・避難民自身が井戸の補修などの維持管理をしなくてはなりません。そのために、私たちは井戸の新規掘削よりも、住民・避難民自身による維持管理のための仕組み作りを重点的に進めています。

これまでに私たちは、カドグリ周辺の10地区で住民・避難民による「井戸管理委員会」の結成を支援し、技術研修と工具の供与、住民から積立金を徴収するルールづくりの支援を行ってきましたが、まだ多くの問題点があります。技術面では、部品交換が必要なケースでも応急処置で済ませて故障が再発するケース、運営面では、住民から徴収した積立金を適切に管理できていないといった問題です。

これらに対処するためには、井戸管理委員会への技術研修や運営研修などのフォローアップが必要です。住民による井戸維持管理の仕組みが定着しすることを目指し、避難民居住区を含む10地区を対象に以下の活動を行います。

 

①  井戸管理委員会への技術研修と工具支援

②  井戸管理委員会への運営研修(積立金の徴収と会計帳簿づけ、運営上の課題について話し合い、成功例・失敗例を共有して学び合う)

③  啓発イベントの開催(井戸の適切な使用法、日常の保守管理の大切さ、そのための積立金の必要性を寸劇や講話で伝える)

④  井戸管理委員会への巡回指導(専門家による運営についてのアドバイス)

             

【社会へ向けて】

紛争が勃発して5年が経過し、人道援助団体からの支援は徐々に少なくなっています。地域住民や避難民は自分たちの手で井戸を補修し給水を維持しなくてはなりませんが、そのことは同時に人々の自信につながり、今後において様々な地域の課題を解決する上でもその自信が活かされると考えます。

また、活動対象地区の多くでは、井戸を共同で利用する地域住民と避難民とが合同で井戸管理委員会を結成し、協力しあって井戸の運営にあたっています。こうしたことは両者の関係性を向上させる要因となります。

一方、この地域の紛争に対する国際社会からの関心が薄まる中で、避難民は依然として故郷に帰ることができず厳しい生活が続いています。日本からの支援による事業の実施は、現地の人々対する「国際社会はまだこの地域を忘れていない」というメッセージであり、人々を勇気づけることにもなります。

前のページへもどる