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あんのん基金

平成30年11月

カンボジア国スヴァイリエン州タナオ・コミューンにおける子どもの権利促進プロジェクト

認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights/シーライツ)

団体名:認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights/シーライツ)
 
事業名:カンボジア国スヴァイリエン州タナオ・コミューンにおける子どもの権利促進プロジェクト
 
支援金額:20万円(2018年11月~2019年4月)
 
【団体紹介】
シーライツは、世界のすべての子どもたちが、いつでも、どこでも、どんな場合でも、国連「子どもの権利条約」でうたわれているすべての権利を保障され、夢や希望を語りあい、社会に参加できる、そんな世界をめざして活動しています。
 
【活動内容】
①開発途上地域における子どもの権利促進事業 (現在はカンボジアを中心に支援)
②開発途上地域における子どもの権利状況に関する調査・研究・発信事業、及び開発教育事業
③日本における国連子どもの権利条約の普及事業、及び子どもの権利促進事業
④国際・国内団体とのネットワーク事業
 
【支援事業について】
スヴァイリエン州コンポンロー郡タナオコミューン(全11ヵ村)は、幹線道路から遠く離れた貧しい農村地域です。稲作を中心とする農業だけでは 生計が困難な家庭は、ベトナムの商人から、大量の農薬や化学肥料を買わされていました。その場合、借金をすることが多く、その借金を返済するために、子どもを伴って隣国のベトナムに違法な出稼ぎに出ていきました。
小学校低学年以下の児童はベトナムに物乞いや物売りとして、小学校高学年以上の児童・生徒は縫製工場や建設現場での仕事をあっせんされた結果、学校を中退して村を出ていく子どもたちがあとをたちませんでした。
そこで当団体は、2012年に子どもたちがベトナムで児童労働に従事させられたり、人身売買の被害に遭わないよう、子どもたちがほかの子どもたちに知識を伝える啓発活動とおとなたちへの生計向上支援を開始しました。

具体的には、シーライツが子どもから子どもへ学校教育を受ける権利を訴える活動を実施し、学校の教員や村長など村のリーダーにトレーニングを行うことで、子どもたちの物乞いの出稼ぎは大きく減りました。
ピアエデュケーターたちは、2014年にシーライツが建設したコミュニティセンターでトレーニングを受け、子どもたち同士でディスカッションをしたりスピーチコンテストを行い、地域社会に訴える力をつけてきました。力をつけた子どもたちは、地域のコミューン評議会で自分たちの問題を訴え、おとなとともに「子どもにやさしい社会づくり」に参加するようになりました。

2017年、そうした子どもたちの多くが高校に進学するために地域から出ていったため、2017年度は、新しく3つの小学校でピアエデュケーター(60名)の育成を開始しました。そして、物乞いの防止に限らず、子どものすべての権利を守るために新たな活動を始めました。
数は減ったとはいえ、中華正月などに物乞いにベトナムに行かせられる小学生はまだいます。また、中学校をやめさせられ、年齢詐称をして縫製工場で働かせられている少女たちも多くいます。親から暴力をふるわれたり、薬物やギャンブルに依存する子どももいます。
新しいピアエデュケーターたちは、学校の先生の強力な支援を受け、定期的にミーティングを開き、子どもたちが直面する問題をどのように解決したらいいか話し合っています。また、将来貧困から抜け出せるようにいい仕事につくためには英語が必要ということから、シーライツの支援によって、日曜日に英語教室を開始しました。

そして、引き続き、コミューン評議会メンバーや地域のおとなのグループと連携し、トレーニングを提供し、子どもが児童労働や暴力から守られる社会づくりをおこなっています。
 
【社会へ向けて】
カンボジアは長い内戦時代に、言葉ではなく暴力が支配していたため、親が体罰によってしつけようとすることが少なくありません。
子どもの権利の普及活動によって、地域で子どもに対する暴力が徐々に減り、子どもの意見を聴こうとするおとなたちが増えてきています。
一方、ここ数年、カンボジアの民主化の状況が急速に悪化し、人権を擁護するような発言や現政権に批判するような発言をすることで逮捕される危険が高まっています。このようななかで、子どもたちの発言する場をいかに確保し、安全で安心な子どもにやさしい社会を築いていくことが、これまでにも増して必要になってきていると言えます。
子どもの意見を聴く機会を保障すること、親にはたらきかけて子どもへの暴力をなくしていくことは、日本で暮らす私たちにとっても課題ですので、共に経験を分かち合って子どもにやさしい世界をつくっていければと思います。

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