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あんのん基金

令和元年9月

東ティモール住民参加によるプライマリヘルスケア強化事業

(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会

団体名:(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会

事業名:東ティモール住民参加によるプライマリヘルスケア強化事業

支援金額:20万円(令和元(2019)年9月)

 

【団体紹介】

シェア=国際保健協力市民の会は、健康で平和な世界を全ての人とのわかちあう(シェア)ために、草の根の立場から行動を起こした医師・看護師・学生等が中心になり、1983年に結成された国際保健NGO(民間団体)です。

私たちはすべての人が心身ともに健康に暮らせる社会を目指し、“いのちを守る人を育てる”保健医療支援活動を、カンボジア、東ティモール、日本で進めています。

 

【活動内容】

1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動

2.社会教育の推進を図る活動

3.災害救援活動

4.人権の擁護又は平和の推進を図る活動

5.国際協力の活動

6.子どもの健全育成を図る活動

7.以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

 

2019年8月現在、カンボジアのプレアビヒア州で、2歳未満児の栄養状態改善、東ティモールの首都ディリ県では、僻地に暮らす住民の保健医療サービスのアクセスや予防行動の向上に取り組んでいます。

日本国内では、在日外国人を対象とした医療電話相談、医療通訳派遣等、また上記の活動に関わる啓発、講演活動等を行っています。

 

【支援事業について】

1.事業を行う背景:僻地の住民の医療アクセスや予防知識の課題

東ティモール首都ディリ県の僻地であるアタウロとメティナロには、住民約2万人が暮らしています。この地域は、保健センターで提供されるサービス(子どもの予防接種、妊婦検診等)の利用が低い地域です。

 

この地域では、交通手段が非常に限られており、住民たちは時間をかけて医療施設を訪れなければなりません。

医療スタッフの不在、スタッフの態度やサービスの不満、住民の衛生や栄養の知識不足、検診や受診の必要性が理解されていないことも、医療サービスへのアクセスを妨げている要因です。

東ティモールでは政府による巡回診療の取り組みもありますが、予算不足や交通手段の問題で、定期的に行われていません。

そのために住民の中では、周産期の病気、子どもの感染症、結核や栄養不良も見られ、対応が遅れて重症化することがあります。

 

シェアでは、ディリ県保健局と連携し、この地域で保健医療サービスの改善と、学校を含むコミュニティの参加向上に取り組むことで、対象住民の医療サービス利用や健康増進活動の促進を目指しています。

 

2.活動の紹介:持続する保健サービスの改善と住民の健康促進活動のために

保健医療サービスの改善のために、事業では地域診療所(ヘルスポスト)建設や船舶の供与を含む必要な資機材の支援を行います。

また、保健スタッフが適切にサービスを提供できるよう、マネジメントを含む能力強化を行います。住民向けには、保健施設や学校、自治体と連携しながら、住民の自発的な健康促進活動を展開します。具体的には以下のような活動を実施しています。

 

①地域診療所(ヘルスポスト)の建設と住民の理解促進

メティナロでは地域診療所を建設します。山間部に近い場所で、これまでも住民から保健省へ建設の要請は何度もあがっていましたが、実現しませんでした。

一方で、地域の中に新しい施設が建設されても、新しいサービスに対する住民の理解無くして、利用にはつながりません。

これまで伝統的医療に頼ってきた住民もおり、診療所の開設にあたり、住民の参加を通した理解促進を促す必要があります。

そこで住民を対象に保健予防啓発のためのワークショップや診察や保健医療相談を保健局と協力して実施することを計画しています。

 

(写真1)地域診療所の起工式の様子

 

②保健サービスの現状分析と保健スタッフやサービスの強化

 保健サービスの改善には、保健局や保健センターのスタッフが現状や課題を理解し、改善に向けて計画を立て、実践していく必要があります。

シェアでは、こうした現地の保健行政の改善活動を支援します。

保健スタッフと共に各地の医療施設や移動診療を訪問し、サービスの提供状況を確認しました。また、保健センターのスタッフと共同で、現状分析や課題の整理を行っています。今後は、保健スタッフへの研修や、保健行政とのモニタリング会議等も行っていきます。

 

(写真2)ディリ県保健局長も同行し、保健サービスのモニタリング

 

(写真3)モニタリングに合わせて保健スタッフが診療活動を行いました

 

(写真4)保健センターのスタッフと共同で、現状分析や課題の整理

 

③住民の声を聞き、地域で健康促進活動を展開

住民の意識や知識、保健医療サービス利用の調査を行っています。同時に、住民会議を開き、住民が考える課題や目的を一緒に整理していきます。

ここであがったニーズをもとに、保健スタッフによる住民への勉強会、そして住民による保健活動を展開していきます。

 

(写真5)メティナロでの住民会議の様子

 

(写真6)アタウロで住民との話し合い

 

【社会へ向けて】

東ティモールで僻地に住む住民であっても他の地域と同じように保健医療サービスへのアクセスや利用が保障されるべきだと考えています。現地では、予防可能な疾病や、罹患後の対応の遅れによって、命を落とす住民や子どもたちがいます。住民や保健行政の力を強化することで、彼ら自身で健康促進に取り組める持続的な体制や仕組みを作っていきます。

 

みなさまからのご支援に感謝申し上げると共に、頂いたご支援を現地の活動に大切に使わせていただきます。活動の進捗は、ホームページやSNSでもご覧いただけます。

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