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あんのん基金

令和元年10月

HIV感染リスクや貧困に直面する農村部の子ども・青少年が、地域に支えられ自分たちで生きる力をつけるための支援事業(南アフリカ共和国リンポポ州)

特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)

団体名:特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター

 

事業名:HIV感染リスクや貧困に直面する農村部の子ども・青少年が、地域に支えられ自分たちで生きる力をつけるための支援事業(南アフリカ共和国リンポポ州)

支援金額:22万円(2019年10月)

 

【団体紹介】

JVCは、人々が自然と共存し、安心・安定して共に生きられる社会を築くことを目的とし、

1)困難な状況にありながらも、自ら改善しようとする人々を支援し、

2)地球環境を守る新しい生き方を広め、対等・公正な人間関係を創りだすことに取り組んでいます。

そのために、「地域開発」「平和構築」「政策提言」という3つの分野を柱に、様々な活動を展開しています。

 

【活動内容】

2019年10月現在、国外ではカンボジア、ラオス、タイ、南アフリカ、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、スーダン、南スーダン、コリアの10か国で活動を展開しています。

活動の柱は、

1)人々の暮らしを守るための「地域・農村開発」、

2)命を守るための「人道支援」、

3)対話を通じて平和な社会をつくる「政策提言」

の3つで、人々が自然と共存し、安心・安定して共に生きられる社会を目指して包括的な取り組みを行っています。

 

【支援事業について】

<事業の背景>

「世界一の格差社会」と言われ、「貧困層」が人口の約6割を占める南アフリカ。農村部では、収入を都市部や鉱山などへの出稼ぎに頼らざるを得ないなか、親の出稼ぎにより子どもだけが残されている家庭も少なくありません。また、HIV/エイズ感染の問題も解決されていないなか大人の5人に一人が感染、エイズで親を亡くす「エイズ遺児」も後を絶ちません。こうした状況下で、南ア農村部の貧困家庭の子どもたちは、身近な大人から必要なサポートが受けられず、食べものへのアクセスすら難しいのが現実です。その結果、十分な教育を受けられないまま、職に就くことができず、その中で将来への希望を失い、犯罪・暴力に巻き込まれる、HIV感染など様々なリスクにさらされています。未来を担う子どもや若者がこのような状況にあることは、世代を超えて貧困と社会が悪循環する要因にもなっています。

 

ケアセンターの菜園。早速収穫し、センターで提供する子どもへの給食に利用しています。

<事業の内容>

一方で、南アフリカの村々には、エイズの影響を含めた保護者の不在、貧困など、困難な家庭環境にある子どもたちをサポートする場として、公的な制度に基づいた「子どもケアセンター」が設立されています。しかし、センターで働く「(村の母親が担う)ケアボランティア」の多くは研修を受ける機会もなく、子どものケアをするための知識やスキルを持っていません。

そこでJVCは、南アフリカの中でも「貧困州」とされ、医療・教育レベル等が低いリンポポ州の農村部(2村)において、2か所のセンターと連携して以下の4つの目標に向かって活動を行います。両センターでは、約20名のケアボランティアが活動し、約250名の子どもたちが通っています。

目標(1)子どもたちが地域で適切にケアされるようになる

ケアボランティアが、ウンセリング、子どもの権利、HIV/エイズ、救急法などに関する研修を受けます。これを通じて子どもたちが直面する状況や課題を理解し、適切に対応できる方法を学び、子どもたちが必要とするケアサポートが十分に行われるようにします。

 

目標(2)「子どもケアセンター」が魅力的で子どもたちを惹きつける場となる

ケアが十分に行えるようになっても、センターでの活動が魅力的でなければ、子どもの参加を得ることができません。

そこで、ケアボランティアに対して、「活動プログラム改善研修」を提供します。研修ではゲームを通じた学習方法や図画工作のほか、年齢に応じた子どもの対応方法などについて学びます。ケアボランティアが、子どもたちが楽しめ、学べる活動プログラムを提供できるようにサポートします。

 

目標(3)OVCが年間を通じて家庭菜園から食べものを得られるようになる

 子どもケアセンターの敷地内に家庭菜園をつくり、自然農業による作物の育て方を学ぶとともに、収穫物はセンターで調理し子どもたちの栄養改善を図ります。センターに通う10代の青少年たちも菜園づくりの研修を受け、自分たちで食べものを作ることを学びます。

 

目標(4)青少年(子どもケアセンターに通う11~24歳の子どもたち)がエンパワメントされ、態度・行動を変容させる

貧困下にありかつ家庭環境が困難な子どもたちは様々な社会リスクに対して脆弱です。そこで、10~20代前半の青少年たちが、性教育やHIV/エイズの知識、自分たちの暮らしや権利、社会、環境などを学び、生きていくための道を自ら切り開く力をつけるための研修実施や、自分の権利や将来について考える機会を提供します。

※様々な事情で教育が遅れて高校に通う20代前半の若者も対象としています。

ケアボランティアたちが子どものケアサポートの方法について研修を通じて学びます。

【社会へ向けて】

■子どもたちの生きる希望

食べものが得られ、日常的に地域の人びとの支えがあり、困難に直面した際にかけこめる場があれば、苦しまずに生きていけることが、親がおらず、お金がなくても、JVCの過去の活動から明らかになっています。また、子ども時代に、親でなくとも周囲の大人に大事にされながら、学ぶ機会を持ち、活動を通じて仲間を作るという経験は、子どもたちにとっては生きていく上で、将来に渡り大きな支えとなります。本事業は子どもたちにケアを提供するだけではなく、前向きに生きる力と希望を届けられるという意義があります。

■将来を担う社会の人材を育て、社会を変えていく意義

支援活動においては、脆弱な状況にある子どもたちを、支援を「受ける」対象ととらえがちですが、子どもたちは社会の将来を担う存在でもあります。南アフリカ社会において、特に青少年たちたちは「ピア・プレッシャー(同世代間での相互圧力)」と形容されるように、「若者同士の間」で「かっこいい」とされる価値観の影響を受けやすく、このことがアルコールや犯罪、低年齢での性交渉につながっています。そうした状況の中、本事業の「子どもケアセンター」の青少年らは、ケアボランティアからのサポートを通じて学び、また自分で考える力を身につけることで、尊厳をもち、自分や他者の権利(社会的弱者である女性の権利含む)や置かれた状況、あるいは社会問題に配慮ができるようになります。そのことによって、自ら「(HIV感染や犯罪等に対する)予防行動」をとるとともに他者や社会に影響を与えることが可能となります。

たとえ人数は少なくとも、研修を受けた青少年たちがそのように育っていくことは、地域や次の世代・社会に広く影響を与えることになります。

いただいたご支援は、家庭環境に関わらず、子どもたちが地域のなかで支えられ、希望を持ちながら生きていくことをサポートするための活動に大切に使わせていただきます。ありがとうございます。

自分たちで食べものを作れるように、10~20代前半の青少年らも菜園づくりを学びます。

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