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あんのん基金

平成31年4月

パレスチナ事業 パレスチナ・ガザ地区「子どもの栄養失調予防事業」

日本国際ボランティアセンター(JVC)

団体名:日本国際ボランティアセンター(JVC)
 
事業名:パレスチナ事業 パレスチナ・ガザ地区「子どもの栄養失調予防事業」
 
支援金額:28万円(2019年4月)
 
【団体紹介】
JVCは、人々が自然と共存し、安心・安定して共に生きられる社会を築くことを目的とし、
1)困難な状況にありながらも、自ら改善しようとする人々を支援し、
2)地球環境を守る新しい生き方を広め、対等・公正な人間関係を創りだすことに取り組んでいます。
そのために、「地域開発」「平和構築」「政策提言」という3つの分野を柱に、様々な活動を展開しています。
 
【活動内容】
2019年4月現在、国外ではカンボジア、ラオス、タイ、南アフリカ、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、スーダン、南スーダン、コリアの10か国で活動を展開しています。
活動の柱は、
1)人々の暮らしを守るための「地域・農村開発」、
2)命を守るための「人道支援」、
3)対話を通じて平和な社会をつくる「政策提言」
の3つで、人々が自然と共存し、安心・安定して共に生きられる社会を目指して包括的な取り組みを行っています。
 
【支援事業について】
パレスチナ・ガザ地区は2007年にイスラエルによって陸・海・空の封鎖が強化されてから、人や物資の移動が厳しく制限されています。また、この11年の間に4度の軍事攻撃を受け、経済は壊滅的な状況にあります。
国連機関等により食料配給もされていますが、全員が受け取れるわけではなく、且つカロリー重視のため微量栄養素が足りない住民が増え、特に子どもが栄養失調に陥る、貧血を患うなどの影響を受けています。
恒常的な栄養不良は発育や発達にも影響を及ぼしかねません。
そのため、JVCは2012年から、子どもたちの栄養改善事業を開始しました。
対象地域の女性の中から40名のボランティアを募り、1年かけてパートナー団体の保健師から、研修や実地指導を受けてもらいます。
事業が終了したら、彼女たちが保健促進員として地域で活躍できる仕組みを作る取り組みです。
 

(写真1)ボランティアの女性たちと現地駐在員の山村
 
活動は大きく分けて以下の3つです。
①家庭訪問
対象地域の各家庭やコミュニティ・センターを訪問し、子どもたちの栄養状態や発達・発育の検査をします。
問題があればクリニックに紹介します。また、お母さんたちからの子育て相談に応じたり、アドバイスしたりもします。
 

(写真2)発達をみるために、子どもの月齢または年齢に合わせたおもちゃを渡し、どうやって遊ぶか、どうやって使うかを観察します
 
②調理実習
子どもに必要な栄養や、衛生管理などについての栄養講習を行うとともに、ボランティアさんたちが栄養バランスの良い離乳食を作り、講習の後にみんなで試食をします。
 
 
(写真3)栄養や手洗いなどについて学んだり、ワークショップ形式で献立を作ったりしながらみんなで栄養について考えます
 
 
 
(写真4)出来た食事は子どもだけでなく、お母さんにも味見してもらい、塩加減などを学んでもらいます
 
③妊産婦向け講習
母乳育児や、子どもの発達・発育、子どもとの接し方などに関して知識を深めてもらいます。
2013~2016年にガザの北部で「子どもの栄養失調予防事業」を行い、その結果、子どもたちの栄養状態の改善に加え、地域保健促進員のボランティア女性たちに活動の定着が見られました。
その成果を受け、パートナー団体から「他の地域で活動を継続したい」という声が上がり、また「自らの手で子どもたちの健康を守れるようになりたい」と願う現地女性たちの意志もあり、
2017年からは、貧困層が多く、ガザの中でも5歳以下の貧血の割合が最も高い中部へと地域を移して活動を行っています。
 
【社会へ向けて】
本事業では、栄養価の高い食材、栄養バランス、調理方法、栄養失調や貧血、くる病の見分け方、正しい授乳方法、母乳育児の意義について、地域の各家庭やコミュニティ・センターを訪問し、カウンセリングや教育セッションを行うことで、知識の向上だけでなく地域の相互扶助の意識を高め、住民自らが地域の子どもの健やかな成長をサポートできる仕組みを地域内に作り上げることを活動の柱としています。
加えて、この事業に参加する女性たちからは、「自分が人の役に立てていることが嬉しい」という声も聞かれており、働く機会がない中で、自尊心を向上または維持することにもつながっています。
こうした取り組みは、活動の持続性・自主性の観点や、また、物をあげることに留まらない国際支援の在り方を見つめ直す上でも意義深い事業であると考えています。

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