ホーム>活動>あんのん基金>ケニア共和国 HIVに影響を受ける貧困家庭の子どもと保護者のためのライフプランニング支援事業

あんのん基金

令和元年6月

ケニア共和国 HIVに影響を受ける貧困家庭の子どもと保護者のためのライフプランニング支援事業

特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS

団体名:特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS
 
事業名:ケニア共和国 HIVに影響を受ける貧困家庭の子どもと保護者のためのライフプランニング支援事業
 
支援金額:189,000円(2019年6月)
 
【団体紹介】
PLASは「HIV/エイズに影響を受ける子どもたちが未来を切り拓ける社会を実現する」というビジョンのもと、東アフリカのウガンダ共和国・ケニア共和国で活動しています。
エイズ孤児とは、エイズで両親または片親を失った18歳未満の子どもを指し、世界のエイズ孤児1220万人のうち約8割がサハラ以南のアフリカで暮らしています。
家庭の貧困やエイズで親を失ったことによる周囲からの差別・偏見によって、エイズ孤児は学校教育からの中退、ライフスキル(自己肯定感やストレス耐性など自ら将来を選択するのに必要となるスキル)を獲得できない、健康リスクを抱える、など様々な問題に直面します。
こうした問題に対して、PLASはエイズ孤児を抱える貧困家庭(夫をエイズで失ったHIV陽性のシングルマザー家庭が中心)への「生計向上支援」と「ライフプランニング支援」を現地のパートナー団体とともに展開しています。子どもたちが就学を続け、「自分には価値がある」と感じながら健康に成長する力をつけることで、自らの意思で未来を切り拓いていけるよう支援しています。
 
【活動内容】
・生計向上支援について
エイズ孤児を抱えるシングルマザー家庭に、自立して安定した生計を立てるための職業(スモールビジネス)技能の提供と、開業のための初期投資を提供します。
例えば、カフェの開業と運営により生計向上を目指す事業では、飲食店を始めるため、HIV陽性のシングルマザーたちに調理・接客・衛生・ビジネス管理などの研修による技能と、それらを作り販売するため必要な食器・テーブル・冷蔵庫やオーブン等の機材などを提供しています。
 
こうしたスモールビジネスを通して、シングルマザー達は自分の力で生計を立て、子ども(エイズ孤児)たちを学校に通わせ、自立した生活を歩んでいきます。
カフェ以外にも、その地域の人たちのニーズや環境にもっとも適切な方法を検討し、農業や養鶏など別の手段で生計向上支援事業をすすめています。
・ライフプランニング支援について
子どもと保護者それぞれが社会で生きるために必要な知見の習得(子どもはキャリア教育・親は教育の重要性や手法など)とを目的としています。
現地にカウンセラーを養成し、子ども・親それぞれに応じた内容で1対1の対面カウンセリングや集合研修の各種プログラムを実施します。
例えばHIV陽性のシングルマザーへは、子どもの発達や進学、家計管理に関する知見を身に着けていきます。これによって、子どもへの教育態度と働きかけを改善します。
子どもたちへは、カウンセリングや集合研修によって、将来を前向きに思い描き現状認識に沿った行動をとり、就学・修了状況を改善して前向きに生きてゆける環境をつくります。また、プログラムの一環で「絵本読み聞かせ活動」をし、子どもたち自身が地域に活躍できる場をつくる活動もしています。
 
【支援事業について】
ご支援を頂戴した事業はケニア西部のホマベイ郡で実施され、以下の2点を目的としています。
1)エイズ孤児を抱えるシングル(片親)家庭の親が、子どもの発達や教育に関する保護者の知識を身に付け、適切かつ具体的に子どもに対して働きかけられるようになること
2)エイズ孤児である子どもが、自分の将来を思い描き、実現に向けて計画性をもって行動できるようになること
シングル(片親)家庭の保護者30名(HIV陽性者を含む)とその子ども30名(小学校6年生)を対象とし、支援を提供しています。
①1対1 対面カウンセリング プログラムの実施
保護者とその子どもに対して、それぞれに個別のカウンセリングプログラム全7回を実施しています。
 
 
 
②集合研修 プログラムの実施
保護者向け情報共有会を開催します。セカンダリースクール・職業訓練校、及び進学についての情報共有会を2回にわたり実施し、30名の保護者を対象とします。
また、子ども向け集合研修では、地域の職業人からキャリアパスについて話を聞くセッションを実施します。
 
③行政への働きかけ
こうした活動は地元の行政との連携が重要です。子どもたちや保護者の抱えている課題、事業の目的や進捗状況、成果を共有していくことで必要な連携を図ることができます。
そこで、保健局や教育局など行政機関担当者へのワークショップを開催します。ここでは各行政の視点から地域の課題を整理し、本事業の目指す成果に向けての協力関係を構築します。
また、行政からの協力を得て、評価実施計画の作成と評価報告書の作成を行っていく予定です。
 
【社会へ向けて】
支援事業を行うケニア西部のホマベイ郡は、成人(15歳以上)のHIV感染率は25.7%でケニア国内で最も高い地域です。また、孤児を抱える約6万家庭のうち半数が貧困家庭。エイズによって稼ぎ手となる片親を失った家庭(エイズ孤児を抱える家庭)も少なくなく、HIV/エイズの影響で貧困下にいる人々が多くいると言えます。
これにより、子ども(エイズ孤児)が小学校に通い続けるために必要な学費を延滞して留年したり中退してしまうということがあります。その結果、初等教育を受けられないまま成人し、職業に就けない・未来が切り拓けない状況にあるのです。
そこで、この事業では活動を通じて、保護者が子どもの発育や教育に対する理解を深め、子どもが成長した未来を想像できるようになることで、学校に通わせ続けるための生計を立てることに責任感と意欲を持つことができるように、そして、そのためにも適切に家計を管理し自立した生計を立てられるようになることで、自信をもつことを目指しています。また、ライフプランニングの支援後には、生計を立てられるように生計向上の支援を計画しています。
また、子どもについては、プログラムに参加した子どもたち全員が小学校を修了することを目指しています。また、家庭の状況を理解した上で自分自身の能力を最大化できるキャリアプランを構築し、実現のために学習への意欲が向上し積極的に取り組めるようにサポートしていきます。
エイズ孤児が自ら未来を切り拓く社会を実現していけるよう、ご支援を大切に使わせていただきます。

前のページへもどる