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今月の聖語

今月の聖語

いうにかいなきものなれど
約束と申す事はたがへぬ事にて候

日蓮聖人御遺文「上野殿御返事」/
建治元年(一二七五年 聖寿五十四歳)

「約束の重大性」
約束の履行はなかなか困難である。人が世にあるということは、それ自体さまざまな約束ごとで結ばれている。それは網の目のようにつながっている。だから一つの不履行はたちまち他へ影響し、余波を生むこと必然である。
約束は、それがたとえつまらないことであっても違えてはならない、というのが掲示文の意味。約束は厳粛・厳正を内実とする。違約や破棄は、世俗にあっても信頼をそこねる。まして、出世間・信仰の世界にあっては、棄教となってすべてを失う。約束は守らねばならない。
日蓮聖人は、世俗倫理にすぎぬかにおもえる約束を重視した。信仰とは約束であると。「まして約束せし事たがうべしや」 「いかに約束をばたがえらるるぞ」と。日蓮聖人の宗教は、本仏釈尊との堅固な約束にたつ。日蓮聖人は本仏に約束し、本仏は日蓮聖人の応生を約束した。約束は決して世俗の規範ではないのである。