ホーム>法話>今月の聖語>我れ日本の大船とならむ

今月の聖語

今月の聖語

我れ日本の大船とならむ

『開目抄』/
文永九年(1272)聖寿五十一歳

=大きな乗り物=

 「大船」とは、多くの人たちを乗せて、目的地に渡るうえでの大きな乗物です。
 目的地は「安穏なる社会」です。「大きな乗物」とは、私たちの生活の場である社会のことでもあるのです。これ以上大きな乗物はありません。
 私たちは経済のもと生活していますが、社会はそれだけでは不安定になります。大切なのはお互いを敬い合う、温かい心を持つことです。
 目先のことのみにとらわれる社会ではなく、みんなで一緒にこの大きな船を漕いで本来のあるべき姿に戻さなければなりません。
 
日蓮聖人御遺文
『開目抄』
 日蓮聖人が佐渡へ流罪となり、生命の危険にさらされながら、ご自身の信仰と生き方について自問自答され、「かたみ」とも言われた重要な書です。
 本書は全体として、すべての人々が釈尊と同じ心になれることを厳しい表現を用いてつづられていますが、その厳しさは、苦しみの世界に生きる私たちを「安らかな世界に導く」という大慈悲心から出たものです。そして和平を願い人類に尽くそうとされたのです。
 
文永九年(一二七二)
聖寿五十一歳