ホーム>活動>あんのん基金>アフリカの心を届けよう !アフリカ市民社会招へい事業

あんのん基金

平成25年3月8日

アフリカの心を届けよう !アフリカ市民社会招へい事業

特定非営利活動法人アフリカ日本協議会

団体名:特定非営利活動法人アフリカ日本協議会

事業名:TICAD V(ティカッド・ファイブ:第5回アフリカ開発会議)にアフリカの心を届けよう!アフリカ市民社会招へい事業

支援金額:30万円(平成25年3月)

【団体紹介】:アフリカ日本協議会

「アフリカ日本協議会」は、1994年3月5日、以下を目的として設立された特定非営利活動法人です。

  1. アフリカの政治的・経済的・社会的困難や環境破壊の危機を解決するためのアフリカの人々の自発的な取り組みへの支援と協力を通じて、彼等との対等なパートナーシップが構築されること。
  2. アフリカに関わる人々のネットワークの形成を通じて、アフリカに関わる様々な団体・個人の活動の強化とアフリカへの理解が促進されること。
  3. アフリカに関わる調査・研究や情報発信、国際会議・セミナーなどへの参加や開催を通じて、アフリカの人々にも重大な影響をもたらす世界と日本の政治・経済・社会・生活のあり方を問い直し、改善案などを提唱すること。
     

【活動内容】

  • アフリカ支援事業:アフリカの困難な状況を解決するための人々の自発的な取り組みを、人材・物的・財政的協力や情報発信・広報活動などを通じて支援する事業
  • ネットワーク形成事業:アフリカに関わるNGOや研究者、国際機関、政府機関などとの相互協力に基づくネットワーク形成のための事業。
  • アフリカ調査・研究事業:アフリカに関わる諸問題の調査・研究の事業。
  • 政策提言事業:アフリカに関わる調査・研究や国際会議への参加などを通じた、アフリカの人々の自立に向けた政策の提言事業。
  • アフリカ理解促進事業:セミナー開催、出版、ホームページなどを通じた、日本におけるアフリカ理解の促進のための事業。
     

【支援事業について】:TICAD V(ティカッド・ファイブ:第5回アフリカ開発会議)にアフリカの心を届けよう!アフリカ市民社会招へい事業(招へい期間:2月4日~2月10日・準備期間:12月24日~2月3日・フォロー期間:2月11日~28日)

TICAD(ティカッド:アフリカ開発会議)とは、Tokyo International Conference on African Developmentの略で、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行との共催で開催する、アフリカの開発をテーマとした国際会議です。TICADは1993の第1回から、今年の6月で5回を数え、アフリカ連合委員会(AUC)も共催するアフリカ関連の首脳会合となっています。
この6月に開催される「第5回アフリカ開発会議」(TICAD V)に、TICADという日本が主導するアフリカ開発のためのイニシアティブに「アフリカの草の根の人々の声」を届けていくことが事業内容となります。
このため、具体的には、この2月のTICAD Vの事前段階で、アフリカの市民社会の代表者3名を招へいし、TICADの共同主催者や関係者(日本政府・国連・世界銀行・在京アフリカ外交団(在京のアフリカ諸国大使の連合体)・経済界など)に対して、食料安全保障や国際保健などの政策提言を行っていきます。また日本の国会議員にアフリカへの関心を持ってもらうために国会院内集会を開催し、彼等招へい者と日本のNGOとの対話の機会を持ちたいと思っています。
さらに、2月9・10日には、TICAD開催予定地の横浜市での「よこはま国際フォーラム2013」にてシンポジウムを開催し、一般市民に対して、アフリカへの関心を喚起していく予定です。
来日するのは、いずれも2007~2009年からTICADに継続的に関わっている以下の3名の方々となります。

  1. ギュスターブ・アッサー氏(ベナン国籍、「ソーシャル・ウォッチ・ベナン」所属、TICADに向けた市民社会のネットワーク「アフリカ市民協議会」議長)
  2. マウンゴ・ムーキ氏(ボツワナ国籍、ボツワナNGO協議会(BOCONGO)所属、「アフリカ市民協議会」副議長)
  3. ファラ・エンサ=ンダイマ氏(シエラ・レオネ国籍、シエラ・レオネ労働組合会議議長、「アフリカ市民協議会」会計役)
                                                                         

【アフリカの市民社会の代表者3名を招へい事業報告】

  1. JICAとの対話:日本のODAの実施機関としてのJICA(ジャイカ:独立行政法人国際協力機構)との対話を行い、アフリカ市民社会がJICAとどのように共同で開発プロジェクトに取り組めるかを中心に議論しました。
  2. 国会議員勉強会:超党派での呼びかけ人により開催され、前回までの勉強会と比較しても最大の15名もの議員の参加を得ました。アフリカ市民協議会の、TICADに対するこれまでの取り組みや、TICAD Vで目指される日本・アフリカ市民間の連携の強化について提案を行いました。質疑応答では、中国などのアフリカ・サミットの特徴と違いについて議論が行われました。
  3. NGOなど日本の市民社会との会合:日本側市民社会が作成した政策提言を紹介、アフリカ市民社会側の提言の方向性を共有した後に議論を行い、今後共同で政策提言を作成していくことが確認されました。
  4. 経済界との対話:市民社会と企業の連携の可能性や、TICAD Vに向けた各々の取り組みを共有しました。
  5. TICAD V共催者らとの円卓会議:外務省・世界銀行・国連機関・在京アフリカ外交団(在京のアフリカ各国大使)が出席し、市民社会側は招へい者のアフリカ市民協議会3名のほか、日本のNGOから約20名が出席しました。議論は経済成長、社会開発、平和と安定、TICAD V後のフォローアップ体制について市民社会が話題を提起をし、それに対して共催者やアフリカ外交団が応答する形で行われました。共催者らの率直な意見も出され、アフリカ市民協議会3名からも今後政策提言を行う上で参考になる意見もあったとの感想が得られています。
  6. 一般向け公開シンポジウムの開催:「よこはま国際フォーラム2013」の講座の一つとしてシンポジウム「市民が望むアフリカとTICADの明日:アフリカと日本の新たな関係づくりを目指して」を開催しました。外務省アフリカ部や横浜市観光局観光コンベンション振興部からの代表者を迎え、定員を超える80名以上の参加がありました。一般の方を対象としたイベントということもあり、招へい者からはアフリカ開発に関する議論のみならず、自国での活動紹介や、日本とアフリカで似ていることは何か、などについて紹介がありました。質疑応答では、アフリカにおける先進国の農業投資を危惧するコメントや、日本に住むアフリカの参加者からのTICADへの要望など、幅広く議論が行われました。

【事業を振り返って】

TICAD V 共催者らとの円卓会議は、土曜日の朝早く、さらには前日までの「共催者運営委員会」で多忙にも関わらず、各国際機関などの代表らが市民社会との対話に出席したこと自体が今までになかったことであり、新たな成果と言えるものです。また、全ての対話や集会において、各方面とも「アフリカ市民社会の声を聞きたい」という積極的な姿勢が見られ、アフリカ市民社会側からも、今後の提言活動に対するモチベーションが上がったとの感想を得られています。
招へいした「アフリカ市民協議会」代表らがTICADに継続的に取り組んでいることや、今回のような顔と顔を合わせた意見交換を行うことで、各方面からの認知度や信頼度を高めることにも繋がりました。
市民社会の公式な参加が認められなかったかつてのTICAD I(1993年)と比べれば、準備段階からTICAD共催者らと対話の場を持つことができ、「市民社会のTICADへの参画」という点では一つの進歩と言えるでしょう。
アフリカと日本の市民社会間の会合では、日本の市民社会が作成した政策提言と共通する部分とそうではない部分を、対面したからこそ確認できたこともあり、今後、アフリカと日本の市民社会で政策提言をすりあわせて一つの提言にまとめていく上で、効果的な意見交換の場となりました。

【社会へ向けて】

本年で20周年となるTICAD(ティカッド:アフリカ開発会議)の歴史は、TICADへの参画を求め続けたアフリカ・日本の市民社会の歴史と重なります。
TICAD I(1993年)では、NGOなどの市民社会は公式の参画を認められませんでしたが、徐々に改善が進み、TICAD IV以降は、閣僚レベルの会合でも、アフリカの市民社会が「MDGs:ミレニアム開発目標」に関する基調講演を行うなど、形式的な発言の権利は認められるようになりました。
しかしながら、未だ会議内容としては、アフリカ諸国政府や国際社会が主導する形で「経済成長」優先の政策が重視されています。事実上、アフリカの内発的発展の実現や、秩序なき外部資本による乱開発の規制、貧富格差の解消、自然環境の保護や気候変動の防止など、アフリカの市民社会が提唱する政策は、聞き届けられていないのが現実となっています。
今回の招へい事業は、アフリカの市民社会が、アフリカの草の根の現実に根差した政策提言をTICAD共同主催者や日本の国会議員、日本のNGOや一般の人々に届けていく機会を持つことによって、日本が主導するアフリカ開発のプロセスである「TICAD」を、アフリカに生きる人々の目線にあった、より良いものにしていくことを目指したものです。

【おわりに】:アフリカと日本の市民社会をつなぐ取り組みを知ろう!

アフリカ日本協議会は、1993年のアフリカ・シンポジウムから始まった日本とアフリカの市民社会組織をつなぐ取り組みに関わり、現在、TICAD Vに向けた緩やかなNGOネットワークであるTICAD V NGOコンタクトグループの事務局を担っています。
今回のようなアフリカ市民社会招へい事業のほかにも、TICAD V本会議までに開催される準備会合であったり、政策提言のために様々な関係者にアドボカシーや呼びかけを行ったりと様々な取り組みをしています。ぜひ一度ホームページをのぞいてみてください。
(参照HP:TICAD V NGOコンタクトグループURL:http://ticad-v-cs.jimdo.com/

前のページへもどる