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あんのん基金

平成25年4月10日

JAR難民支援協会「安心して眠れる場所を(難民緊急支援)」

特定非営利活動法人「難民支援協会」

団体名:認定NPO「難民支援協会」

事業名:日本に逃れ、困窮状態にある難民への越冬緊急支援事業

支援金額:20万円(平成25年4月)

【団体紹介】:認定NPO「難民支援協会」

難民支援協会は、1999年7月17日に設立された特定非営利活動法人で、日本に逃れてきた難民が、日本で自立した生活を安心して送れるよう、
・難民一人ひとりやコミュニティへの直接支援
・よりよい難民政策に向けて社会に働きかける政策提言・ネットワーク構築
・難民が身近な存在となるために市民に伝える広報活動
という3本の柱を中心に、活動しています。

【活動内容】

日本に滞在している難民から、年間1万6千件以上の相談を受け、専門的なスタッフが一人ひとりへ支援を行っています。さらに、制度改善のための政策提言・調査研究、および情報発信を行うなど、日本での難民保護を目的として総合的に活動しています。難民への直接支援については、主に以下の3つがあります。

☆法的支援:難民申請手続きの段階に応じ、多言語で分かりやすく情報提供をし、資料作成のアドバイスや証拠資料の収集支援を行っています。諸手続きにおける弁護士との連携や、収容施設における面会も実施しています。
☆生活支援:医療機関や役所との交渉、シェルターの開拓や手配、子どもへの教育支援、困窮した難民への経済的支援など、日本での生活に関するあらゆる相談にのり、支援を行っています。
☆定住支援:難民が日本社会の一員として、自立した生活を送れるよう、難民同士の支え合いをめざしたコミュニティ単位でのワークショップや、日本語教室を開催しています。また、就労支援として、難民の雇用に関心のある企業の開拓や、難民の起業の後押しを行い、難民がより活躍できる場づくりにも努めています。

【支援事業について】:日本に逃れ、困窮状態にある難民への越冬緊急支援事業

2013年2月から4月を期間として、「母国で迫害を受けて日本に逃れてきたが、安心して眠れる場所がない」「数日間食べていない」「寝るところがない」と事務所に相談に訪れる困窮した難民(10~15名/日)の方々に対し、凍死することなく寒い冬を乗り越えられるよう、緊急の生活支援を行いました。また、セカンドハーベスト・ジャパン*など、他の団体とも連携し、すぐに食べられる食糧や冬服の提供も併せて行いました。

母国での迫害から逃れて日本にくる難民の方々は年々増加しています。2011年の難民申請者数は過去最多の1,867人でしたが、2012年はそれをさらに36%上回る2,545人にのぼりました。しかしながら、2012年に日本政府から難民として認めてもらえた人の数は18人と、過去最低水準の認定率となりました。日本では、なかなか認定がされない上、審査の結果が出るまでに、平均2~3年、長い人は5年以上かかります。その間の公的な生活支援は限定的**な上、申請の後、受給するまで1か月半から3ヶ月要する場合も多くなっています。その結果、来日直後の難民は特に、知人や頼れるつてがないことが多く、所持金が底をつくと同時にホームレス状態を余儀なくされます。今年の冬は、そのような状況に陥った難民申請者が少なくとも50名以上にのぼり、難民支援協会にも連日多くの相談が寄せられました。今年の東京の冬は雪も多く、寒さも一段と厳しかったため、寒さをまぎらわすために、一晩中歩き続け、朝に難民支援協会の事務所が開くと、事務所で仮眠をとるという毎日を過ごす方も少なくありませんでした。

私たち難民支援協会では、難民の方々からの相談に応えて、各方面とも連携し、シェルターや生活支援金の提供を行いながら、公的資金のギャップを埋めるべく取り組んでいます。しかし、難民申請者の急増にともない、これまでにない数の方々から相談が寄せられており、人的資源や資金が足りないという現状に直面しています。

残念ながら、2012年は難民申請者が急増し、難民支援協会への相談も増えたため、すべての人のセーフティネットを確保することは難しい状況でした。脆弱性の高い女性や子どもを優先的にシェルターにつなぐため、単身の男性には、シェルターを提供できない場合もありました。その際は、寝袋と炊き出し情報を渡すという支援に留まるケースもありました。それでも、なんとか無事一人も命を落とすことなく「越冬」することができました。

今回のあんのん基金からいただいたご寄付は、このような厳しい状況にいる難民を支えるために使わせていただきました。誠にありがとうございます。心からお礼申し上げます。

*セカンドハーベスト・ジャパン:食品メーカーや農家、個人などから、まだ充分食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を引き取り、児童養護施設の子どもたち、DV被害者のためのシェルター、路上生活を強いられている人たちや難民に食料提供の活動を行う日本初のNPOフードバンク。

**公的な生活支援:「保護費」難民認定申請者に対する唯一の公的な生活支援金。現在、外務省が財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部に委託し、生活費として1日1500円(子ども750円)、住居費として単身で月額4万円を上限に支給している。申請者が増加する中、2009年、外務省は保護費予算が不足するおそれがあるとして、保護費を打ち切り、社会問題となった。

【社会へ向けて】

難民支援協会は、日本に逃れてきた難民が食べたり、寝たり、働いたりする、当たり前の生活を送れるよう支援しています。震災後、経済的・社会的に低迷を続ける日本社会において、難民は非常に脆弱な立場に置かれています。しかしながら、難民は、母国で迫害を受けるおそれから日本に逃れ保護を求めている存在であり、日本での生活が厳しくとも、帰国ができません。日本政府は難民条約の締約国として、難民を保護する国際的な義務を負っていますが、難民に対する公的支援が限られている現状では、民間の支援が必要不可欠となっています。私たちは、活動を通じて、日本に逃れてきた難民が適切に保護されるよう支援するとともに、多様なバックグラウンドを持つ人たちが、自分らしくいられて、つながりあい、助け合えるネットワークが多様にある社会を提案できる存在でありたいと考えています。また、活動を広げる中で、様々な考えを持っている人にもぜひ参加していただき、一緒に難民や社会のことを考え、歩んでいきたいと思っています。

 

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