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あんのん基金

平成25年7月10日

ビルマにおける宗教間対立から考える平和と希望~ビルマ僧侶Ashin Sopaka師をお招きして

ビルマ市民フォーラム

団体名:ビルマ市民フォーラム

事業名:ビルマにおける宗教間対立から考える平和と希望~ビルマ僧侶Ashin Sopaka師をお招きして

支援金額:15万円(平成25年7月)

【団体紹介】

ビルマ市民フォーラム(People's Forum on Burma)は、広くビルマに関心がありビルマの民主化を願う人々が、その実現のために知恵を出しあう場として、1996年12月、200余名のメンバーにより設立されたNGOです。

【活動内容】

①ビルマの民主化を願う市民の声を結集し、民主化を促すために考えられるあらゆる活動を展開します。具体的には、ビルマに関する様々な情報を収集し、それらを提供・広報する発信源となり、日本政府やビルマ軍事政権に対して影響力を行使しうる組織・団体の態度決定に対して勧告や意見の提出などを行ないます。

③在日ビルマ人との親睦・交流をより深めるとともに、彼らの行っている民主化運動に対し市民の立場からなし得る協力を行ないます。具体的には、一般的な活動、在留問題について支援していく他、日本語教室の運営、彼らの文化活動への協力なども行い、ビルマやビルマ人に対する理解を深めより多くの人にビルマを知ってもらうきっかけを提供します。

【支援事業について】

ドイツに亡命後、ヨーロッパを中心に平和についての活動を行い、2007年には国内の若手僧侶とともにサフラン革命を率いたAshin Sopaka(アシン・ソパカ)師を日本にお招きして、以下の目的について活動を行います。日本の市民社会としてビルマの平和へ何ができるか考える場を提供したいと思います。

1.現在ビルマ国内で起きているイスラム教徒と仏教徒の対立を含む民族・宗教対立について、日本の支援者やビルマに関心を持つ国会議員と意見交換を行う。

2.在日ビルマ社会における在日ロヒンギャに対する差別に対し考察し、対話の機会を設ける。

3.3.11の被災地に行き、被災された方と交流し、犠牲者への祈りを捧げる。

4.日本の平和や世界の平和のあり方について日本の僧侶と意見交換を行う。

【社会に向けて】

ビルマ(ミャンマー)は2011年3月に「民政移管」され、軍事政権による数々の問題も終わったかのようにみえます。しかし、いまだ少数民族地域では戦闘が続いており、数百人の政治囚が国内に残されております。この中で、2012年6月に発生したロヒンギャ*への殺害を含む弾圧行為は悪化の一途をたどっています。すでに発生から1年近くが経過していますが、状況は好転するどころかいまだ数万人単位の難民が国内外へ逃げ続けている状況にあります。

また今年3月にはビルマ中部において、非ロヒンギャのムスリム(ビルマ人のムスリム)への殺害やモスクへの破壊等が発生し、多くの死傷者が出る事態となっております。このムスリムへの迫害はビルマ全土に及んでおり、一部報道ではビルマ僧侶が民衆の不満を操り、暴動を扇動しているとの報道もあります。

Ashin Sopaka師はこの問題においていち早く以下のような声明を発表し、平和の尊さ、他宗教のへの寛容を説いた僧侶であります。

“The Buddha never taught us to hate others but to love uncountable beings in the universe! Teaching to hate other is too easy than to have metta! We should not kick off the face of Buddha by violations!”

「仏陀は、他者への憎しみを説いたことはない。かの教えはこの世の無量の衆生への愛である。憎しみを説くはたやすく、慈悲(metta)を保つはむずかしい。教えをやぶり、仏を汚してはならない!」

この問題はビルマにおいて長年あったムスリムへの差別意識や、教育の不備・不足、貧困といった社会問題が根底にあります。欧米諸国では懸念を表明する声が数多く上がっておりますが、民主化指導者でもあるアウンサンスーチー氏でさえ国内からの反発を恐れ、声を上げられない状況にあります。

このような状況においてAshin Sopaka師は稀有な存在であり、今回の招聘には非常に大きな意味があると思います。現在ビルマに大きな注目が集まり、ビルマと日本が経済面での結びつきを強めようとする中で、Ashin Sopaka師と共にビルマの平和のあり方について考えられることは大変素晴らしい機会であり、私たち市民社会も彼との交流を通してビルマの民主化、そして民族・宗教融和について何ができるか一緒に考える場としたいと思います。

現在在日ビルマ難民が新たなステージに進む中、日本国内のロヒンギャに対しても、この問題に真正面から向き合うことは、私たち市民社会にも必要です。今回の来日に合わせて、ロヒンギャ問題のひとつである「1982年の国籍法」を扱った講演会も同時に行い、より一層の理解を深めたいと思います。

私たち団体、ビルマ市民フォーラムはビルマの民主化に特化し、多くの会員・支援者とともに活動してきた団体です。今回のあんのん基金からのご支援はAshin Sopaka師の渡航費用の一部にあてさせていただきます。

*ロヒンギャ:イスラム教徒で、ビルマ西部のアラカン州に居住している。ビルマ政府からは国民として認められておらず、移動や職業の自由もなく、ビルマにおいて様々な差別を受けています。日本にも200人近くが難民として暮らしています。

 

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