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あんのん基金

平成25年11月8日

CSOの開発効果向上事業

特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター JANIC

団体名:特定非営利活動法人国際協力NGOセンター  JANIC

事業名:CSOの開発効果向上事業

支援金額:30万円(平成25年11月)

【団体紹介】

現在、日本の国際協力NGOは400以上あるといわれ、世界100カ国以上で活躍しています。しかしその多くは、欧米のNGOに比べ規模が小さく、人材や資金の確保など、さまざまな課題を抱えているといわれています。実際には、日本のNGOの発展も50年近い歴史を持ち、途上国の人々の期待に応えていく活動を続けてきました。しかし今後、地球規模課題の複雑化に呼応して、さらにその活動を発展させる必要があります。

個々の団体の努力も必要ですが、ひとつひとつの団体の力では限界があります。NGO同士、またはNGOと政府や企業の協力を進め、NGOが活動しやすい社会をつくるためには、NGO全体のために活動する「お世話役」、つまりNGOを支援するNGOが必要です。

国際協力NGOセンター(JANIC:ジャニック)は、飢餓、貧困、人権の侵害から解放された、平和で公正な地球市民社会の実現を目指して1987年に設立されました。日本の国際協力NGO団体を正会員とする、日本有数のネットワーク型国際協力NGOです。

【活動内容】

JANICはネットワークNGOとして、NGOとNGO、NGOと企業、市民のみなさん、政府・自治体など、これらすべてをつなぐ役割を担っています。そのため、活動内容も幅広く展開しています。現在JANICでは次の3つを主な活動領域として事業を行っています。

①  グローバルイシューと日本政府およびODAへの調査・提言活動

②  NGOの理解促進と各組織との連携

③ NGOの能力強化と社会的責任の向上

また、東日本大震災発生後に「東日本大震災 NGOの被災地支援活動への側面支援」を開始しました。

【支援事業について】

近年NGOの開発効果に関する世界的な議論が進み、NGOが質の高い国際協力を実施するために守るべき8つの原則「CSO開発効果にかかるイスタンブール原則」が合意されました。

JANICでは、2010年より日本のNGOに対する開発効果議論の普及およびイスタンブール原則の実践の促進を目指し、これまでにワークショップ型研修の開催、議論概要を説明する啓発パンフレットの発行、原則の実践に向けた手引き案の策定等に取り組んできました。本事業ではイスタンブール原則をより多くのNGOに広めることにより、日本のNGOによる国際協力活動の質を向上させるために以下の活動を行います。

① イスタンブール原則実践のための手引き作成

イスタンブール8原則の内、以下5原則について実践を手助けするツール(手引き)を開発する。

原則3:エンパワメントと民主的オーナーシップ、参加の重視

原則4:環境の持続可能性の推進

原則5:透明性の確保と説明責任の達成

原則7:知識の創出/共有と相互学習の実践

原則8:状況の改善に向けた持続的な変化の促進

※原則1、2、6については昨年度の取り組みによりツール(案)が完成しているため内容の精査に取り組む。

② パンフレット挿入用の文書作成

上記の5原則を日本の文脈に合わせてわかりやすく説明する解説文を作成し、昨年度完成した啓発冊子『効果的な活動を行うためにわたしたちが守るべき8つのこと~CSOの開発効果にかかるイスタンブール原則を知るための手引き』の別冊版を作成します。別冊には解説文に加え、①の手引きを盛り込みます。

③ NGO向け研修ワークショップの開催

上記啓発冊子を活用しながら、国内NGO向けの研修ワークショップを計2回開催催します。内1回は全国NGOネットワーク会合(9月開催予定)の機会を活かして広島開催とし、参加する各ネットワークNGOが加盟組織に本議論を普及できるようになることを目的とした基礎的な内容とします。別の1回については、原則2(ジェンダー平等と公平性の実現)または原則6(パートナーシップの模索)に焦点を当てた研修型ワークショップとします。

④  CSO Partnership for Development Effectivenessの動向フォロー

2011年の釜山閣僚級会合後、開発効果議論をフォローアップするNGOの国際的なネットワークとして、CSO Platform for Development Effectivenessが 立ち上がりました。現在は各地域でコーディネーター委員会が主体となり、地域毎に活動計画の策定が進んでいます。

日本が所属するアジア太平洋委員会では、JANICから理事長が北東アジア代表の代替要員となっており、本議論へのフォローは必須であるといえます。活動計画が確定された暁には、必要に応じて諸会議に出席し、日本を含む東アジア地域の市民社会の声をインプットに努めます。

【社会へ向けて】

2005年より、政府や国連機関レベルで政府開発援助(ODA)の質を向上させるための議論が開始されました。

開発問題に取り組む世界のNGOは、この「援助効果」議論が、援助の”質”ではなく”効率”の議論に偏っていると批判的に捉えるとともに、責任ある独自の開発アクターとして、NGOも自身の開発活動についてその効果や質を問い直す必要があるとの認識に至りました。

本事業で普及を目指すイスタンブール原則は、上述の問題意識のもと、世界70ヶ国以上のNGOが議論を重ねて完成した成果であり、NGOが貧困や不平等から派生する諸課題やその原因に対し、持続的かつ積極的な変化をもたらすため(=効果的な活動を実践するため)に重視すべき8つの価値・指針がまとめられています。

むろん、原則はNGOの多様性を全て包括できたものではありませんが、これまで充分に議論がされてこなかった「なぜ私たちはNGOという立場で貧困削減に取り組むのか」「NGOが開発活動に取り組む意義、価値はどこにあるのか」という命題について、先進国、途上国の市民社会が一丸となって議論を重ね、1つの答えを明文化したという点に大きな意義があります。

残念なことに、日本ではこういった国際的な議論がNGOの間でほとんど知られておらず、本議論の成果を国内に広め、原則の実践を促すことは、日本のNGOが責任ある開発アクターとしての責務を果たし、より質の高い事業を実践できるようになるための能力強化にとって非常に重要であるといえます。

 

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