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あんのん基金

平成26年11月14日

児童養護施設 いわき育英舎園内「寺子屋」第2フェーズ

児童養護施設 いわき育英舎園内「寺子屋」第2フェーズ

団体名:児童養護施設 いわき育英舎

事業名:児童養護施設 いわき育英舎園内「寺子屋」第2フェーズ

支援金額:10万円(27年6月)

【団体紹介】

基本方針は、児童憲章および児童福祉法に基づいて施設の健全な環境に努め、児童の人間性を尊重し、地域社会との連携を深め明るく楽しい家庭の場として将来立派な社会人として自立でき、幸福になるよう養護、育成することです。

敬愛・敬老・敬心の三大敬心をモットーに、豊かな心で人々に接する環境作りを目的に、本施設と隣接する、介護老人保健施設「二ツ箭荘」に入所中の高齢者が身近に生活する環境のもとに、共に暖かい家庭的雰囲気の中で児童と老人が生活する「老人と子供の村」づくりを実践しています。

様々な背景で親の保護を受けられない1歳以上20歳以下の児童が、児童相談所の措置により入所した本児童養護施設において、日常生活や学校生活が安定して送れる事を目指しています。同時に施設退所後も社会に貢献できる人材の育成にも努めています。

【活動内容】

被虐待などをはじめとする保護者の養育を受けられない1歳~20歳の措置児童に家庭的な養育を提供しています。大舎制の園舎で安心して生活を送り、学令児童は学区内小中学校に通学させて、学校教育法の規程による義務教育をうけさせ、年少児・幼児は園内保育及び幼稚園に通園させ、義務教育を終えた児童は、進学・就職その他のみちに進ませるようにしており、2012年からは、地域グループホームとして、民家を借り上げて6~8人以内の子どもが一般家庭に近い生活が送れるよう、近隣住民の理解と協力を得ています。

指導の目標 としては、

(1)基本的な生活習慣を身につけさせる。

(2)安定した情緒と豊かな情操を身につけさせる。

(3)独自、自立性そして調和と協力心を養う。

(4)忍耐性の強い人間形成をはかる。

(5)奉仕の精神と勤労意欲を身につけるようにする。

(6)学習意欲の向上をはかる。

(7)余暇指導の充実を期し、自治活動の育成につとめる。

以上7点です。

【支援事業について】

昨年12月に助成をいただいた学習支援であり、継続申請をいたします。

平成26年実績(こどもはぐくみファンド)小学7名、中学8名、高校13名  延べ253名

参考:入所児童数34名(平成26年12月31日)

本年度は、あんのん基金の助成で1月~2月を充当しているが、その後はドイツからの寄附金で充当して2ヶ月継続後の5月~12月(8ヶ月分)の目処は立っていない。

児童養護施設に措置された児童の背景と学習支援の目的は前回申請時と同様である。

本来、行政が措置した児童であり、行政が子どもたちの自立のための学習支援の費用は追うべきであるが、現行のシステムでは学習塾など「施設外の学習」は措置費から費用が支給されているが「施設内での学習支援」は措置費の対象外である。いわき育英舎は立地条件から考えて、施設外への通塾はきわめて困難である。

本事業の最終ゴールは「次世代の育成」である。子どもの貧困が学歴と関係しており、貧困の世代間連鎖が起こっているのは明かであり、下村文部科学大臣が県内A児童養護施設を来訪して聴き取りも行われてから1年経つが、学習支援の措置費制度改正の見込みはまだ立っていない。

学習支援が開始されることにより、子どもたちの意欲や成績は伸びている。一端開始したものは、資金がないために1ヶ月でも中止することは、子どもの意欲の減退のみならず、講師のモチベーション低下にも繋がると考える。国が制度を整えるまでの間は、民間の寄付で継続していく必要がある。

本園の学習室の設置は2012年に寄附金で内装改修工事を行い、机・パソコンなどを配置した(資料の写真参照)。厚生労働省が進めている社会的養護の計画にのっとり、2015年より小舎への建て替えが始まり、約1年間仮設の園舎での生活をせねばならない。学習室を効率的に活用して、環境の変化による学習時間や意欲の後退を招かないよう工夫が求められている。

「寺子屋」第2フェーズの目標は以下のとおりである。

1)成績が25%程度上昇する。

2)職員に促されなくても就学児童が自主的に机に向かう姿が見られ、長くなる。

3)学習道具を大切に扱うようになる。学習室の整理整頓や掃除をする。

4)就学児童同士が助け合いながら、成績向上を図るコミュニケーションが生まれる。

5)高校中退者を出さない。

6)専門学校、短大、大学進学者希望者が出る。

【社会へ向けて】

前回申請時に、子どもの背景から考えられる学習支援の社会的な意義は論じてあるので、継続申請に当たり、事例を紹介したい。

現在高校2年生の児童は、将来いわき育英舎で子どもの世話をしたいという希望を持っている。高校での成績も優秀で、公立大学に推薦入学できるシステムがあるので、この制度を活かして保育士資格を取りたいと現在は希望を抱いている。この推薦入学に相当する成績を取るために学習支援が必須である。

当該児童は、大学入学後は一人暮らしをして、学費・生活費すべて自分でまかなわなければならない。そのため、推薦入試で早期に入学を決められた後は、アルバイトをして大学入学後の生活費を貯蓄しておけることが期待できる。その他、複数の奨学金を得る準備も開始している。このように、18歳で高校を出た後、措置延長にならない限りは自分で衣食住、そして学業にかかる費用をすべて準備しなければならない。

その他、子どもたちの感想は施設から送付したものからも読み取れるように、学習支援により子どもたちの意欲が高まっている。これは自己効力感の向上にも繋がり、自分に自信を持って、施設を出た後も自立した生活ができ、少子化の日本社会の大切な一員となっていれるという意義がある。

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