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あんのん基金

令和4年10月

ネパール零細農家の収入向上支援事業

特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構

団体名:特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構
事業名:ネパール零細農家の収入向上支援事業
事業期間:2022年10月~2023年3月
支援金額:45万円
 
【団体紹介】
AMDA社会開発機構(AMDA-MINDS、アムダマインズ)は、「世界の元気を育てたい」をスローガンに、人づくり村づくりを通じ、世界の貧困地域において暮らしの改善に取り組んでいる認定NPO法人です。
 
【活動内容】
アジア・アフリカ・中南米で、保健、水と衛生、生計向上などの社会開発を、日本国内では、国際理解教育や企業連携を通じた社会教育を推進しています。
 
【事業の概要】
この事業は、ネパールの中央丘陵地域に位置するゴルカ郡で、貧困から抜け出そうと新たにコーヒー栽培に取り組む零細農家の第一歩を後押しすることで、家族が笑顔で暮らせる日常の実現を目指したものです。具体的には、農家150世帯に、コーヒーの苗木を100本ずつ供与し、苗木の植え付けや栽培方法を指導しました。
 
【事業の意義】
事業地のゴルカ郡2地区(ガンダキ地区、サヒッドラカン地区)には、農業が主たる生計手段でありながら、それだけでは家族の生活を支えていくことができない零細農家が、全体の9割以上を占めています。彼らは、急峻な斜面を耕し、天水頼みの伝統的な農法でとうもろこしやかんきつ類を栽培していますが、それだけでは生活に必要な現金収入を得ることが難しいため、就労可能年齢にある人は収入機会を求めて村を出ざるを得ず、家族の誰かが国内外へ出稼ぎに出ている世帯がほとんどです。
ネパールは、東南アジアやアラブ諸国に年間約30万人の労働者を提供していますが、出稼ぎ先で命を落とす例も少なくなく、労働環境や待遇の改善が社会問題となっています。一方、農村には高齢者と未就学児が残され、家族の離散や過疎化も深刻な課題です。家族がそろって、農村集落での生活を営んでいくためには、収入機会の多様化と生活の改善が喫緊の課題ですが、標高1,500m前後の丘陵地で大規模な営農はできず、また他の産業も育っていません。
そこで近年、注目を浴びているのがコーヒー栽培です。換金性が高いこと、栽培好適地に余剰があること、国内外の市場が拡大していることから、ゴルカ郡農業開発局が零細農家の収入向上の一環としてコーヒー栽培を推奨しており、現在約290世帯が就農しています。アムダマインズは2021年から、対象地の既存農家に対する栽培指導や加工にかかる環境整備などを自己資金等で実施していますが、新たに就農を希望する農家への支援は、予算・人材不足で始められず、やる気がある人たちを待たせてしまっている状況でした。
コーヒー栽培への新規就農支援は、零細農家の貧困軽減はもちろん、「もし村で十分に収入が得られるなら、出稼ぎには行かず、故郷で家族と一緒に暮らしたい」と語る青年層の希望をも叶え、社会を明るくし、家族の絆と笑顔を増やします。この点に、本事業の社会的な意義があると、私たちは考えています。
 
【支援額の使途】
対象地域内で、苗木を生育しているスリジャンシルコーヒー組合から苗15,000本を購入し、農家150世帯に100本ずつ配布しました。対象農家の選定にあたっては、各集落に組織されている「農家グループ」の推薦に基づいて、栽培好適地の有無や農家のやる気を確認した上で決定しました。苗木の植栽を行う前に事業スタッフが各集落を訪れ、土壌の整備や肥料の準備についてデモンストレーションしながら指導し、植栽後も各集落を巡回して指導するなど、適切な栽培方法の徹底に努めました。
苗木の配布を受けた農家は、「既にコーヒー栽培をしている知り合いからも勧められていたので、ようやく始められてとてもうれしい。コーヒーの実がつくまで3~4年かかるとのことだが、丁寧に世話をしていきたい」と笑顔で話していました。
 
  
農家自身で、スリジャンシルコーヒー組合の苗床から自分の集落まで苗木を運びました(写真左)
各集落を事業スタッフが訪問し、植栽後の栽培状況を指導しました(写真中)
少し大きくなった苗木を見て、農家さんも嬉しそうです(写真右)

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