じつは身近な仏教用語

一念

【いちねん】

【s:eka-kṣaṇa/eka-citta-utpāda】

一般的に一念と言いますと、深く心に思うこと、一筋にその事を思うこと。
又その思い、といった意味で使われる事が多いかと思います。
しかし、元々の意味に立ち返りますと、むしろ逆の意味になります。
元来の意味には2つの系統があります。
1つ目は極めて短い時間、一瞬間を意味するもので、サンスクリット語eka-kṣaṇa(エーカクシャナ)という原語に対応します。kṣaṇa(クシャナ)とは刹那と音写される時間の単位です。
2つ目は、心のわずかな動き、微細な働きを意味するものです
サンスクリット語eka-citta-utpāda(エーカチッタウトゥパーダ)に対応します。
中国において天台の「一念三千論」の形成があり、これによって「一念」という言葉に大きな哲学的意味が与えられるようになっていきました。
要約しますと、一瞬一瞬の心の動きや思い、という意味が本来的な用例となります。

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