法華経と共に生きる人々

お題目に生きる

公開日時:2021/09/20

ご縁によって私がある

平等に評価する教育に変えるお題目の教えと共感

「人とのご縁によって今の私がある」と笑顔で話すのは、愛知県名古屋市S寺の総代・M・Gさん(73)。元々伯父がS寺の総代を務めていたが亡くなってから父が引き継ぎ、現在はMさんがその後を継ぎ、長きにわたりお寺に尽力している。

信仰熱心な家庭に生まれ、幼少期からお題目が身近にあった。毎日仏壇にはお水・お膳が供えられ、起床・外出・帰宅時に手を合わせることは当たり前。お寺の行事は伯父夫婦に連れていってもらうのが習慣だった。

現在、名古屋市にあるS学園大学の学長でもあるMさんは、多忙を極める中、毎月自宅に伺う「お月参り」では一緒にお経を読む。お寺の行事のときは受付をしたりと積極的に参加している。「行事で受付にいると自然と檀家さんと顔見知りになり、ご縁もできる」と話す。

Mさんは大学生のころ、教育学を専攻した。きっかけは小学生のころ、成績上位者だけを褒める先生が担任だったことだ。頑張って好成績をあげても上位10番以内に入らないとその努力すら認めてもらえないことに「できる子もできない子もみな平等に評価すべき」「自分がこの教育を変える」と当時から思っていたという。その思いに向かって奮闘している現在、同大学の教育理念は「人間になろう」。人を大切にし、人と支えあい、自らがんばれる人となることを目指す。この教育理念をみたとき、お題目とつながるものがあり共感できたと語る。これも幼少期からの「人のために」という家庭の教育方針があり、体にお題目の教えがしみ込んでいるからだろう。

また10歳ぐらいのころ、病院長だった父が、「上に立っても下をちゃんと見てあげないといけない」と言っていたことが印象的で、その教えも教育の基本にもなっている。

そんな学長のMさんのもとには、よく学生が相談にくる。また新入学生は俗にいう「五月病」になる子がいるが、そうならないよう5月頃に、Mさん自ら学生に近況確認のメールをしている。学長が自ら? と思ったが、「昔からやっていることを続けているだけで何も特別ではない」と、時間を作り、話を聞いている。学長職にあっても学生とのダイレクトな触れ合いを大切にしていることが伝わっってくる。

大学の授業や講演会では「人とのつながり」についてよく話をしている。人と人がつながることで人間関係、縁ができる。1回では無理でも、ひと声でつながる縁もある。

さらに、今まで関わった生徒は教え子だが、逆に教えられることもある。全員教え子であり、先生でもあると、誰にでも明るく、分け隔てなく接し、人とのつながりを大切にしてきたことで今の自分があるのだと話すMさん。

取材をして、人との「ご縁」は、幼少期から身近にあった家庭の教育方針、またお題目の信仰による「ご縁」で、今に活かされているのだと実感できた。

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