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法華経と共に生きる人々

お題目に生きる

公開日時:2021/11/20

我深敬汝等 不敢軽慢(がじんきょうにょとう ふかんきょうまん)

お寺の世話で心も身体も安らぐ

境内に1歩入ると綺麗に整備され、お寺らしい景観に心が落ち着く。野球帽に長靴が〝いつもの姿〟だというT・Nさん(79)は和歌山市Y寺の総代を務める。寺掃除の相棒だという使い込まれた鉄熊手が、何とも手に馴染んでいるのが印象的だ。

若い頃はお寺との付き合いは母親が主で、敏弘さんは仕事に精を出し、4人の子育てにと奮闘していた。お寺に来るのは人並みにお盆やお正月の墓参り、年中行事があれば母を送ってくる程度だった。

元を辿ればNさんの母・KさんもY寺の篤信者で、長く総代を務めていた。「定年退職したらお寺をよろしくね」。前総代であった母の思いを受け継いで、気付けば20年が経った。今ではR・M住職に「姿を3日見なかったら心配になる」と言わしめるほどで、朝起きると不思議とお寺が気になり「ちょっとお寺に行ってこよう」と足を運ぶ。宗門内においては和歌山県檀信徒協議会の役員も務め、趣味のゴルフでは、エイジシュートも達成する腕前の持ち主だ。来年傘寿を迎えるとは思えない健康の源は「お題目に触れることで心が安らぎ、お寺のお世話をさせてもらうことで心身共に健康でいられるのだ」という。本堂内に飾ってある団体参拝や行事など、どの写真を見てもNさんが写っている。Y寺を語る上で欠かせない象徴的な存在だ。

またこんな微笑ましいエピソードを話してくれた。ある日、Nさんが仏壇に向かって常不軽菩薩品の24字偈を唱えていると、後ろにいた当時小学校3年生の孫が「おじいちゃんこうでしょ?」と言って24字偈を暗唱したという。嬉しそうに話すNさんの表情からも自身が母親から総代を受け継いだように、親から子へまた子から孫へと信仰の灯が伝えられていると実感できる。それはひとえにNさんの日々の信仰の賜物といえよう。

Y寺の境内にはNさんの発案によって日蓮聖人降誕800年の記念事業として、枝垂れ桜が植樹された。頭を垂れていることから〝不軽桜〟と名付けられている。お題目が響く境内に、この不軽桜が大きく根を張り美しく花を咲かせてくれる日が待ち遠しい。「人に迷惑をかけず、世間のためになるように」と穏やかに話してくれた姿は、まさに常不軽菩薩のお姿と重なる。今となってはすっかり宗門で定着した「我深敬汝等 不敢軽慢 所以者何 汝等皆行菩薩道 当得作仏」の誠心で給仕にあたる。

最後に今後の願望についても「自分の代でできるか分からないが立派な本堂を建てたい。震災の心配もあるので慌てず、全檀家一丸となってお寺のために尽力していきたい」と力強く語ってくれた。

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