法華経と共に生きる人々

お題目に生きる

公開日時:2021/11/20

K寺からつながってきたもの

夫の新盆棚にあふれるお題目のご縁

R・Yさんは鴨川市の老舗和菓子屋の3女として生まれた。実家の菩提寺は本山K寺。信仰心の篤かった母に連れられ、子どもの頃からK寺をお参りし、特に大晦日から年明けにかけての参拝が楽しみだったという。

R子さんは昭和40年に現在の南房総市のK・Yさんのもとへと嫁いだ。Y家も日蓮宗のS寺の檀家で、新たなお題目の縁を繋げることとなった。昭和45~46年ごろからは、Y家先祖の供養をS寺で行いつつ、病気がちだったKさんの平癒をK寺で毎月開催されていた祈願祭で祈った。祈願祭に参列するのは50、60代のK寺でもお経や太鼓が達者なベテラン檀信徒たち。その中で当時30代だったR子さんは無我夢中でお経を覚えていった。その姿は時の貫首や寺族の心を動かし、昔馴染みでもあったことからより一層K寺とのご縁も深いものになった。

R子さんのお題目信仰を更に強くさせたのは、K寺先代貫首のH上人の勧めで登詣した七面山だった。40歳代後半から親族や近所の知人、職場の仲間などを誘って登詣を始めた。登詣のために前泊していたT坊やF坊、七面山登山口のH屋など、お題目を通じての繋がりがどんどん広がった。そこに楽しみを覚え、年に1度の登詣が欠かせないものとなった。最後に登詣したのは70歳の時、千葉県南部日蓮宗青年会で企画した団体登詣で、多くの参加者と「助け・助けられ」の登詣となった。

R子さんのお題目の縁はK寺から始まり、近隣の有縁寺院や嫁ぎ先のS寺、地元日青会、身延・七面山へと広範囲にわたるが、どれも薄い繋がりではない。毎年のお会式や行事ごとに生花を奉納するお寺もあれば毎月のように仏花などを奉納しているお寺もある。K寺では年中行事のお手伝いに欠かせない存在となっている。

昨年7月にR子さんの夫・Kさんが80歳の生涯を終え、今年新盆を迎えた。新盆の準備には近年は業者の用意する新盆仮祭壇で済ませる家庭が多いところ、Kさんの弟・Tさんの同級生のM・Sさんが自家製の新盆棚を作る提案をしてくれた。同じく同級生のS寺のS住職に作り方を教わり、Tさんも協力しながら完成させた。「同級生が揃ってKさんの新盆棚作ってくれたよ」とR子さんは笑顔を見せた。

そして何より驚いていたのが、この新盆棚の完成を聞いて、K寺からも新盆の供養にと棚経に来てくれたことだった。葬儀の時にも足を運んでくれたが、「新盆にまでお経を上げていただけたのは嬉しかった」と話す。

実家と嫁ぎ先、他にも数多くの日蓮宗寺院とのご縁を授かり、たくさんの寺院に尽くしてきたR子さん。大切な人を供養する新盆の折に思いがけない贈り物をいただいた。ご縁のある皆が亡きKさんのためにとR子さんの下へ集い、Kさんの魂をお迎えする新盆棚を作り上げた。R子さんが繋いできたお題目のご縁が亡き夫・Kさんの新盆棚には溢れていた。

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