宗務院
2025.10.29
いのちに合掌 写真コンテスト入選作品発表
第3回
いのちに合掌 写真コンテスト
入選作品発表
「いのちに合掌」の理解感じる作品
宗務院で田中総長らが作品審査
日蓮宗宗務院主催の「第3回いのちに合掌 写真コンテスト」の審査が9月9日、東京都大田区の宗務院で行われました。日蓮宗の布教方針「いのちに合掌」をテーマに「いのち」「合掌」などを表現した作品を募集し、今年は昨年を上回る約177点の応募がありました。
審査には写真家の鹿野貴司氏、田中恵紳宗務総長をはじめとする審査員が選考し、最優秀賞1点、優秀賞2点、入賞5点が選ばれました。田中総長は「日常の一瞬に宿る命の尊さや、自然との調和、祈りの姿などを捉えた作品が多く、非常にレベルの高い内容でした」と評しました。
長谷川雄一伝道部長は多くの応募へ感謝を述べ、「表現力の豊かさと、テーマへの深い理解が感じられる作品が多かったです。引き続き継続していきたいと思います」と、次回開催への意欲を示しました。
総評―応募作品のレベル上がる
「合掌」を考える写真も次回に期待

写真家・鹿野貴司
回を重ねるごとに応募数が増えるだけではなく、応募作品のレベルも格段に上がってきました。それゆえに審査は難航するかと思いましたが、不思議と意見の相違がなく、とりわけ最優秀賞の「平安願って」はあっという間の満場一致。微笑ましい写真や、考えさせられる写真も多く、宗務院での審査会をとてもいい雰囲気で進めることができました。力作をご応募いただいた皆さまに、審査員を代表して厚く御礼申し上げます。
全体としては花を含めた植物のほか、子どもや動物をモチーフにした写真が目立ちました。写真や映像の業界では「子どもと動物には勝てない」といわれますが、たしかに入選作品8点をみると、どちらも写っていないのはなんと1点だけ。なんだか一本取られた気分ではありますが、コンテストのレベルが上がってきた証拠でもあります。
また募集テーマを「いのち」または「合掌」としていますが、今回は前者が目立ちました。振り返れば日常でも人は手を合わせることが多いはずです。次回は後者の力作にも期待したいところです。
鹿野貴司氏=写真家。1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。現在は、七面山敬慎院のYouTube制作にも携わる。『甦る五重塔 身延山久遠寺』『感應の霊峰 七面山』などの写真集を出版。著書に『いい写真を撮る100の方法』(玄光社刊)。またカメラ雑誌や同系のウェブサイトにレビュー記事などを執筆している。
写真コンテスト入選作品
最優秀賞 「平安願って」
応募者: 埼玉県さいたま市 忽那博史さん
応募者コメント:
桜の花びらが散る頃、愛犬の散歩中に出合った馬頭観音に合掌し、平安を願いました。
鹿野貴司氏のコメント:
桜吹雪に菜の花という、これ以上ないほど穏やかな春の光景。そこに多くの人びとを護ってきたであろう石彫りの観音さまが鎮座しています。お姿を拝見するに、こんなのどかな日ばかりではなく、長年風雨に耐えてきたはず。新旧でありがたみが変わるものではないと思いますが、こういうお姿には自然と手を合わせたくなるものです。それは人間だけではなく、愛犬も同じだったようで……。奇跡的な一瞬を見事に、しかも心地よい距離感で捉えています。
優秀賞 「くも もく もく」
応募者: 京都府与謝野町 小牧美雪さん
応募者コメント:
夏の雲がみるみる成長して踊りを踊っているようでした。
鹿野貴司氏のコメント:
毎回このコンテストには蓮の写真がたくさん送られてきます。美しい写真も多いのですが、一方で「命」や「合掌」を連想させるものがなかなかありません。この写真は雲がまるで生きているかのように、そして手と手を合わせようとしているふうにも見えます。そして天に向かっていくように咲く一輪の蓮にも、強い生命力が感じられます。そんな様子をうまく切り取っていますが、言葉遊びのようなタイトルも素敵です。
優秀賞 「感謝を込めていただきます」
応募者: 大阪府高槻市 大上麻衣さん
鹿野貴司氏のコメント:
「命をいただく」というと動物を思い浮かべがちですが、果物だって立派な命。そんなことを再認識させてくれた1枚です。梨農家の娘さんかお孫さん、あるいは農園に梨狩りに来たのでしょうか。木漏れ日と明るめの露出が、写真に優しさを生み出しています。農作業の写真はどうしても緑が強くなって色彩表現が難しいのですが、トラックの荷台と姉妹が着ているツナギの青が効いています。
入賞 「名前を貰った野良猫たち」
応募者: 京都府京都市 田中雅之さん
応募者コメント:
小さな漁村で、自宅の前でひなたぼっこをするご婦人に出会いました。彼女の周りには数匹の猫たちがくつろぎ、聞いてみれば皆どこからか集まって来た野良猫ということでした。野良猫の平均寿命は交通事故や病気、飢餓、厳しい気候条件などで3~5年と短いなか、この子たちは名前を付けて貰い、ご近所さんからも可愛がられながら、安住の地に辿り着けたようです。
鹿野貴司氏のコメント:
写っている4匹+女性が「最近お米が高くてイヤね」などと、まるで井戸端会議をしているかのようです。そんな想像ができてしまうのは音声も動きもないから。あらためて写真の良さを認識させてくれる1枚です。
入賞 「待ち望んだ今日」
応募者: 岡山県倉敷市 藤木栄子さん
応募者コメント:
2年前に5羽産まれましたが、他の鳥に突かれて亡くなりました。そして待望の雛が誕生しました。
鹿野貴司氏のコメント:
動物の感情はなかなか人間にはわかりにくく、とりわけ写真で表現するのは難しいのですが、お母さんが我が子を慈しむ様子が伝わってきます。望遠レンズでシンプルに構図をまとめたのも功を奏しています。
入賞 「感謝を込めて」
応募者: 神奈川県海老名市 清水 進さん
応募者コメント:
足元の明るいうちにご先祖様をお迎えしようと…。皆の感謝の思いを込めてお焼香をする。
鹿野貴司氏のコメント:
もう少し低いアングルならば横で見守るお父さん(?)の表情も写り、もっと上位に選ばれたかもしれません。選考会では好意的な意見が多く、この優しいまなざしで今後もお孫さん(と推測しますが)を見守ってください。
入賞 「願い」
応募者: 栃木県鹿沼市 福田康幸さん
応募者コメント:
動物園の猿が願いごとをしているようなしぐさをしていたので撮影。
鹿野貴司氏のコメント:
審査会でもっとも話題になった写真です。一瞬の偶然だと思いますが、よく撮れたなぁと感服する1枚です。と同時に、何かに祈るのは人間だけ…というのは、人間の傲慢な考えかもしれないと思いました。
入賞 「パ パ」
応募者: 和歌山県由良町 岩崎一也さん
応募者コメント:
パパが指を握ってもらおうと差し出した手を子どもは快く握り返してくれました。子どもの表情がほほえましくパパは大喜びでした。
鹿野貴司氏のコメント:
ひとりで両手を合わせるのが合掌ですが、ふたりで手と手を合わせるのも立派な合掌。0歳では合わせるより握りたくなるのでしょうが、パパの指を借りて表情もうれしそうです。







