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宗務院からのお知らせ

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2014.05.30

愛媛県教師の会「東日本大震災陸前高田市慰霊行脚」報告

①  活動名称:愛媛県教師の会「東日本大震災陸前高田市慰霊行脚」報告
 
②  日  程:平成26年4月15日(火)
 
③  実施場所:岩手県陸前高田市
 
④ 主催・協力団体: 主催 愛媛県教師の会  協力 岩手宗務所
 
⑤ 参加者名:
妙典寺・船橋別院住職 会長 植田芳明(愛媛県宇和島市)
法円寺住職 副会長 清家静元 (愛媛県宇和島市)
正法寺住職 事務局 田坂正潤(愛媛県久万高原町)
積善寺住職 関谷泰眞 (愛媛県松山市)
妙永寺住職 長崎一隆(徳島県徳島市)
妙法寺住職 古川隆晶(愛媛県松山市)
善法寺住職 渡邊泰雅(高知県仁淀川町)
上行寺修徒 武市智則(愛媛県伊予市)
大法寺修徒 関谷泰裕 (愛媛県松山市)
法華寺修徒 東 是宏(岩手県遠野市)
 
⑥実施内容:愛媛県教師の会は、陸前高田市において東日本大震災被災者に対し慰霊行 脚を実施した。

4月15日
9:00 岩手宗務所法華寺に集合
9:30 被災者追善、復興祈願法要。その後乗用車で出発
10:30 大船渡市綾里砂子浜の慰霊碑前にて献花、回向。4月11日に建立されたばかりの高さ5㍍の碑石に「南無妙法蓮華経」の 題目が刻まれた慰霊碑に向かい唱題。
12:30 陸前高田市旧道の駅「陸前高田タビック45」地内に設けられた追悼施設で献花、回向。
13:00 行脚スタート   追悼施設を出発し、駅、旧市街地を中心として、高田バイパス、東浜街道、高田街道を経て追悼施設に戻るコースを唱題行脚。
15:30 奇跡の一本松到着。復興祈願回向の後、現地出発。
17:00 法華寺到着、解散
⑦ 感想・所感など
 愛媛県教師の会は、平成24年には愛媛県松山市で、25年には宇和島市で「東日本大震災慰霊行脚・募金」を実施してきた。3年目にして初めて被災地を訪問し慰霊行脚することができた。陸前高田市を行脚して思うことを述べたい。
 
環境を思う
 旧道の駅から見る光景は全く無機質だ。海岸線から山裾まで見渡せる範囲は、真っ平らで何もない区間がただ広がっているのみだ。しかし、その中に、高台の山を削り、削った土で造成するために巨大なベルトコンベアが建設され、ショベルカーが動き、ダンプカーが走り回っている。道路を歩く人影はない。震災前はここに公共施設があり、市街地があり、人が集っていたことを想像すると、町一つが消滅してしまった現実に驚愕する。
 風が強い。行脚のために題目旗を立てようとするが、旗が強風にあおられ立たない。持ち歩くことなど全く無理だ。陸前高田市は、かっては7万本の高田松原によって守られていた。松原が防潮林の役目を果たし風を防いできた。しかし、松原が消滅した今、常時強風が吹きあれている。津波によって町は裸地となり、強風にあおられ土埃が舞い上がり、目を開けているのもつらい。住む環境とは言い難い。高台に残った家の人たちの環境も変わったであろう。どうか健康を害さないようにと強く祈る。
 
行脚で思う
 山積みにされた土砂や材木の横や、建設機械がせわしく動く中を唱題行脚する。
すると、所々に花束が置かれているのに気づく。聞けば、花束の置かれているところは、津波の犠牲者が沢山集まって打ち上げられた特別な場所だという。そこは地元の人しか知りえない場所である。行脚中誰一人ともすれ違うことはなかったが、地元の人達が欠かさずに花を手向けて祈っていることがよく分かる。
 行脚していると、何台も10トンダンプが列をなして脇を通っていく。ふと運転手さんに目を向けると、私たちの姿を見て、左手はハンドル、右手は合掌の形をとられている。幾人もである。一緒に拝んでいらしゃるのだ。
 地元の方も、他県から来て復興工事に携わっている方も、私たちも被災者を悼む気持ちは一つだ。皆ともにひたすら祈りたい。
 
奇跡の一本松に思う
 奇跡の一本松を訪れた。松は高さ27メートル、直径90センチメートル。このような松で形成された白砂青松の高田松原は、癒しの名勝であり、町の守りであった。

そう考えると、奇跡の一本松は、ありがたい感謝の松の象徴だと思う。今は一本しか残っていない。しかし、すべては1からはじまる。先祖が、町の人のため、何十年何百年後の子孫のためと最初の一本を植えた気持ちを忘れてはならない。奇跡の一本松同様高田松原の蘇生を願いたい。植林計画が始まればすすんで喜捨し、撃鼓唱題で人にも勧めたい。
 
最後に
 やっと被災地に慰霊行脚に行くことができた。実際に被災地に立ったとき、報道や映像で感じた思いはまだ人事の域を出ないと痛感した。涙がこぼれ、慰霊の念をさらに強くする。被災地慰霊行脚を今回のみに終わらせず今後も続けていきたいとの思いは、愛媛県教師の会一同の共通の思いである。
 
謝辞
 
 陸前高田市慰霊行脚にあたり、沢山の助言を下さり、さらに会所まをお貸し下さいました岩手宗務所長阿部是秀上人、法華寺山務の上人方、ここに紙面を借りまして御礼申し上げます。
(植田記)

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