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日蓮宗メールマガジン5月号

【今月の法話】

〜葉守りの神〜

八百万の神に守られてきた日本の風土。それは、森羅万象葉に神々が宿るという日本独自の信仰形態のあらわれである。この時季は長く寒い冬を経て、待っていたかと若芽が萌え競う季節である。だが、あえてこの時期に枯れた葉を落とす木がある。「かしわ」である。冬、落葉樹の葉は枯れ落ちるものだ。「かしわ」は枯れるが、落ちずに枝にぶら下がって北風にも耐える。ガサガサと揺れながらも枝から離れない。そして、枯葉の下に小さなうぶ毛のかたまりのようなものが顔を出すと、バラリ、バラリと落葉する。そのような性質から、「葉守りの神」などとも呼ばれている。

この月に入ると端午の節句も間近い。菓子処にはかしわ餅も並んでいる。かしわの性質を子の成長を見届ける親の姿になぞらえ、子孫繁栄の縁起の良いお菓子としてこの時期に作られる。地味な風体だが、ここまで縁起を担がれるのもかしわの木も名誉なことである。

そこに古き日本人の気質の尊さを感じることも確かである。

かしわ餅を食す時はかしわの葉をはがすものである。以前、包むということは、その中には大切なものが入っているだけではなく、大切な気持ちも含まれていることを忘れないようにと、教えられたことがある。その時はニュアンス的に理解できる部分はあったが、しっくりくるものではなかった。年月を経てふと感じることがあった。大事なものを両手で包んで、作ってくれた人に感謝して、頂きますと伝える。この三つの行為が揃い、これが合掌そのものの姿なんだと気付かされる。私たちの身近な行いから、仏様への恋慕にまで通ずる姿である。

ただし、包んだ中身が乾かないように気を付けなければならない。お菓子も人の心も新鮮さを欠かしてはならない。今年も葉守りの神様の偉業に想いを寄せてかしわ餅を頂きたい。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。
11日 月例金曜講話
12日 伊豆法難会
28日 いのりの日