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日蓮宗メールマガジン4月号

【今月の法話】

「さくら」

厳しい寒さの冬が過ぎ、いよいよ春がやってきました。

日本の春といえば、やはり桜ではないでしょうか。

日蓮宗の各御寺院さまでも、身延山久遠寺の枝垂れ桜を筆頭に桜の花がきれいに咲き誇っていることと思います。

一気に咲き乱れ、散るときにはパッと散ってしまう仏教的無常観からくる桜の美しさ。うつろいゆくものにこそ私たち日本人は美しさを感じてしまうものです。

「願わはくは 花の下にて春しなむ そのきさらぎの 望月のころ」

この歌は鎌倉時代の歌人・僧侶、西行が詠んだ歌です。

願わくは桜の咲き誇る釈尊の入滅の日、2月15日に死にたいものだ、という意味の句であります。

パッと散る桜と自らの理想を重ね合わせた句なのではないでしょうか。

実際、西行は旧暦の2月16日に亡くなっています。旧暦の2月16日は新暦の平成30年で言いますと4月1日にあたります。ちょうど桜の咲く時期をさしています。

また西行はこんな句も詠んでいます。

「何事のおわしますをばしらねども かたじけなさに涙こぼるる」

西行が伊勢神宮に参拝した時に、何が祀ってあるかはわからないが伊勢神宮の神聖な荘厳な雰囲気に日本人的な感動を覚えて詠んだ句であります。

私はこの句を見た時、パッと身延の御廟所を思い浮かべました。

何事がおわしているかはわかっていますが、その雰囲気にかたじけなく思い、いつお参りしても感動してしまいます。日蓮聖人の息吹が感じられるからなのかもしれません。
冒頭述べた桜というものは、美しいときは一瞬で過ぎ去ってしまいます。限りのあるものの象徴といってもいいかもしれません。
命と、限りある時間に関して日蓮聖人は、信者の四条金吾に対してこんな言葉をおしゃっています。

「百二十まで持ちて名をくたして死せんよりは生きて一日なりとも名をあげん事こそ大切なれ」

人間として生きることは、かけがえのないもので、一瞬一瞬が大切であります。
そして、そのかけがえのない、限りある命であるからこそ人間性、精神を磨き心の財を積むことが大事なのだということです。

さあ新しい年度となりました。

桜を愛でつつ、心新たに日々を大切に生活していきたいものです。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

6日 月例金曜講話
8日 釈尊花まつり
28日 立教開宗会