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日蓮宗メールマガジン3月号

「目に見えない不安 -魔を破す-」

2月中旬、新潟から東京へ出張となり、妻から用心するようにときつく言われて出発しました。用心というのは「新型コロナウイルス」に対しての言葉でした。この時は市中感染が日本ではじまったのではないかと疑われている時でしたので、妻の心配も当然でしょう。

東京に着いて電車に乗り込むと隣の男性がせき込んでいて、ないとも言えない不安にさいなまれたものでした。気になり始めると、つり革、手すり等々きりがないほどです。

ウイルスは当然ですが目に見えないですし、いかなる場所や人に存在しているかは、わかりません。それゆえに目に見えない不安が私のみならず、日本中、世界中を覆っているように感じます。

こういった時に私はよくこう思います。「お釈迦様がいらっしゃったらどうさせるだろう」と。

お釈迦様は悪魔と会話する場面がよくあります。悪魔は様々な姿で現れ、お釈迦様の心を恐怖に陥れようとしました。その後、お釈迦様は

「破壊をもたらす者よ。身にも、言葉にも、こころにも、よく気をつけて制している人々は、悪魔に支配されることはない。かれらは悪魔の追随者ではないのだ。」

と言われました。悪魔は「尊師はわたしのことを知っておられるのだ」と気づいて、その場で消え失せた。という内容です。

今回からすれば、悪魔とは、新型コロナウイルス、悪魔に支配されることとは、不安でこころがいっぱいになってしまうこと、悪魔の追随者とは、不安に駆られて誤った行いをする者となるでしょうか。

新型コロナウイルスはいまだ、終息の兆し見えてはおりませんが、科学的な見地から新型コロナウイルスの全容が見えてくることでしょう。ワクチンなどの開発などによって脅威とはならなくなる日もいずれ来ると思われます。そうなったときには悪魔は消え失せるのかもしれません。

しかしそうなるまでには、まだ時間がかかりそうです。

ですから身にも、言葉にも、こころにも、よく気をつけて制している人に自分自身がなれるように努力する必要があるように思われます。

今まさに私たちは試されているのです。

不安に負けないようにお釈迦様の教えを信じ、自らの行動をよく気をつけて制して、この困難を乗り越えていく道はないように思います。

参考文献

中村 元 訳 (1986)『ブッダ 悪魔との対話』 岩波文庫

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

8日 日頂上人会
16日 道善御房忌
17日 彼岸入り 宗務院休業
20日 春季彼岸中日
23日 彼岸明け
26日 日昭上人会
28日 いのりの日