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日蓮宗メールマガジン7月号

「人の価値は生まれによって決まるのではない」

6月2日(火)、ツイッターやインスタグラム等のSNSでは真っ黒な四角形の画像が

「Blackout Tuesday (ブラックアウト チューズデー)」
「The Show Must Be Paused(ショーを中断して考えてみよう)」

というメッセージとともに数多く投稿された。

今まで見た事もない不思議な投稿に唖然とした。

この投稿は、6月2日(火)に実施された大規模なストライキ運動で、仕事を中断して黒人への不当な暴力や、差別への反対を表明する意味が込められているそうだ。

きっかけは5月25日、アメリカのミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが、白人警官に拘束され亡くなった事件を受けてのことだ。

悲しいことに、アメリカでは黒人男性が1000分の1の確率で警察に命を奪われ、
2013年から2018年の5年間では、20代の黒人男性の死因第6位が「警察による暴行」
と言われている。

そのような中、黒人世帯の一部では、命を守るため少しでも安全な人として見られ、警察に目をつけられない為のルールを設ける家庭があるという。

そのルールには

・手をポケットに入れてはいけない
・パーカーのフードをかぶってはいけない
・シャツを着ないまま、外に出てはいけない
・遅い時間まで外で出歩かない
・買わないものを触らない
・誰かと言い争いをしているように見せてはいけない
・大きな音楽をかけて車に乗ってはいけない

など、私たちが普段何気なく行っていることも多く含まれている。
しかし、その何気ない行為が黒人の人々にとっては命の危険になり得るというのだ。

肌の色が黒いというだけで、タンクトップを着れば柄が悪く犯罪者と疑われ、
ポケットに手を入れれば凶器を所持していると思われる。
そんな差別があって良いのだろうか。

今から約2500年前、仏教の開祖であるお釈迦様が在世のインドでは
「ヴァルナ制度」という身分が肌の色によって分けられる制度が存在した。

そのような時代に王子として生まれたお釈迦様は、自身の高貴な身分を捨てブッダとなり
裕福な人も貧しい人も関係なく、多くの人々を救い導いたのだ。

最古の仏教経典と言われる、『スッタニパータ』の一説には
「人は生まれによって賤民となるのでもなく、生まれによって聖者になるのでもない。
人は行いによって賤民ともなり、行いによって聖者となる」
と説かれている。

つまり仏教では、人の価値は生まれた環境が貧しいか裕福か、あるいは肌の色が白いか黒いか、外見で決まるのではなく、その人がどのような行いをしてきたかによって決まる。

肌が白くても悪い行いをする人は多くいるし、肌が黒くても社会に貢献する立派な人は多くいる。要するに、外見や生まれ等の一括りで人を判断してはいけないのではないだろうか。

アメリカや海外で起こった事件・デモは決して対岸の火事ではない。
日本にも人種差別の歴史は存在し、私たちも知らず知らずに差別してしまっていることはあるだろう。

今回の事件をきっかけとして、お釈迦様の言葉を胸に刻み、差別問題について考えていく必要があるのではないだろうか。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。
13日 お盆迎え火
16日 お盆送り火
28日 いのりの日