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日蓮宗メールマガジン2月号

「人生ほど重いパンチはない」

「人生ほど重いパンチはない!だが、大切なのはどんなに強く打ちのめされても、こらえて前に進み続けることだ。そうすれば勝てる!(中略)他人を指差して、自分の弱さをそいつのせいにするな。それは卑怯者のすることだ!お前は違う!(中略)自分を信じなきゃ、人生じゃないぞ!」

ボクシング映画「ロッキー」シリーズの第6作目「ロッキー・ザ・ファイナル」で、主人公ロッキーが息子に熱く語ったセリフの抜粋です。

「ロッキー」で主演・脚本を務めたのが元祖肉体派俳優シルベスター・スタローンさんです。

スタローンさんは生まれて間もなく左顔面麻痺と言語障害を患い、その影響により幼い頃はひどいいじめにあっていたそうです。
その反動からかなり荒れた少年時代をおくり退学を繰り返していました。
そのような生活の中で演劇に出会い、多くのオーディションに応募しますがまったく受かりませんでした。
28歳の時、ボクシングの試合を観戦したスタローンさんは試合に感化され、ボクシングを題材に脚本を書きます。
脚本をもとに自ら主演した映画はその年のアカデミー賞に選ばれ、シルベスター・スタローンの名は一躍有名となりました。
これが映画「ロッキー」の誕生秘話です。

「ロッキー」はスタローンさんが自身の人生を重ねて生まれた物語だったのです。
冒頭で息子に放った言葉は、人生というパンチに人一倍耐えたスタローンさんの魂の言葉でないかと私は感じます。

仏教では私たちの世界を「忍土」(耐え忍ばなければならない世界)とも言います。
この世界は上手くいかなくて当たり前、辛くて当たり前な世界です。
そのような世界に住んでいる私たちは、どうしても自分以外のなにかに苦しみの原因があると探したくなります。

しかし、原始仏典『ダンマパダ』にはお釈迦様のこのようなお言葉が記されています。
「他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったこととだけをみよ。」
自分がしてきたこと、してこなかった事。それが正しいのか正しくないのか。
相手がどうでなく、自分がどうなのかという事に意識を向けなさいと説かれております。
他人が自分とどう関わろうと、結局は自分が道を選び歩まなければなりません。
一生懸命になにかに取り組もうとする人ほど、心が折れそうになる時があります。
そんな時、もう無理ではなく、自分にまだ何ができるのか。
苦しくても自分と向き合うことで道は開けるはずです。
あがいて、もがいて、何度でも立ち上がって、自分の物語を素晴らしいものにしていきましょう。

参考文献
『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村元 著 岩波書店

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

7日 日興上人会
10日 加行所成満会
14日 妙日尊儀忌
15日 釈尊涅槃会
16日 宗祖降誕会
28日 日什上人会・いのりの日