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日蓮宗メールマガジン2月号

『疑問を受け入れる温かさ』

「光陰矢の如し」
年を重ねるごとに、月日の流れが速くなっているように感じます。
僧侶となって今年で10年が経ちました。
僧侶になったばかりの頃は、どんな場所においても最年少で、経験豊富な先輩僧から教えていただくことばかりでした。
ところが、永遠のルーキーと思いこんでいた私も、いつの間にか年下の僧侶と関わることが増え、質問を受ける機会が多くなってきました。
ご指導いただいた先輩方のようにちゃんと答えることが出来ているだろうか、もっと何か伝えられたのではないだろうかと考えることもあります。
「どんなことにも疑問をもってください。」
数年前に門を叩いた布教研修所の入所日、当時の先生から初めに言われた言葉です。
先生は自らお手本を見せるように、多くの疑問を研修員に投げかけてくれました。
「お~い。これってどういう意味やぁ?わからんかぁ。調べておいてくれやぁ。」
その恩師の影響か、あらゆることに興味がわき学ぶことの楽しさを知るようになりました。
しかし、そんな意欲も打ち砕かれそうな時があります。
「え、そんなことも知らないの?」
と無知であることを呆れられることです。
誰しも知っていることもあれば、知らないこともあります。
どんなに賢く物知りであっても、知識をひけらかし高圧的な態度をとる人に何かを尋ねようと思えるでしょうか。
多くの人を教え導かれたお釈迦様にとって、お弟子さんや信者さんからの質問の中には、他愛もないものも多くあったと思います。
しかし、法華経を拝読する限りお釈迦様がお弟子さんに対し
「そんなことも知らないのか!」
とおっしゃられるような場面は見受けられません。
法華経の『従地涌出品第十五』では、弥勒菩薩がその場にいた聴衆を代表して質問をします。
するとお釈迦様は
「善哉(ぜんざい)善哉、阿逸多(あいった)、ないし能(よ)く仏にかくのごとき大事(だいじ)を問えり。」
すばらしい!阿逸多 (弥勒菩薩) よ!よく私に大切なことを聞いてくれた!!
と質問をした弥勒菩薩を称賛されています。
また、日蓮聖人は法華経の内容について質問をされたご信者さんへ
「先(まず)法華経につけて御不審(ごふしん)をたてて其(その)趣(おもむき)を御尋(おたず)ね候(そうろう)事(こと)ありがたき大善根(だいぜんこん)にて候」
(『妙法尼御前御返事』)
法華経について疑問を抱きその意味を尋ねられた事は、尊いことでありますよ。
とお手紙の冒頭で述べられた上で、質問に対し丁寧に教えを示されています。
知らないことを恥ずかしがることはありません。
聞くことは恥ずかしいことではありません。
「よく聞いてくれたね。それはいい質問だ。」
お釈迦様や日蓮聖人の御心のように、やさしく答えられる。
そんな人でありたいと思います。

【お知らせ】
いつも日蓮宗メールマガジンをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
日蓮宗メールマガジンは、令和6年4月より配信内容をリニューアルいたします。
4月の配信より日蓮宗ポータルサイトに掲載のお知らせや、日蓮宗公式ラインにて配信している法話の更新情報等、様々な情報をご案内してまいります。
今後とも日蓮宗メールマガジンをよろしくお願いいたします。

日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

7日 日興上人会
10日 加行所成満会
14日 妙日尊儀忌
15日 釈尊涅槃会
16日 宗祖降誕会・宗務院休業
28日 日什上人会・いのりの日