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今月の聖語

今月の聖語

陰徳あれば陽報あり

日蓮聖人御遺文「陰徳陽報御書」/
弘安二年(一二七九年 聖寿五十八歳)

「愛 育」
純真一徹な鎌倉武士四条金吾頼基は、素直でまっすぐな性格を愛でられ、信心の志ことのほか純信であったから日蓮聖人に深く愛された。日蓮聖人は、あたかも弟を保護するように身辺の些事(さじ)まで気を配り愛育の手をさしのべられた。
師弟一枚の信が根底に存したのであるが、頼基の性格は直情径行でもあったから、主君のおぼえめでたい身は、同僚の嫉妬を招き、主従間の離間策を弄されて主の不興をかうに到った。頼基は、窮地に陥り苦しみ悩むが、隠忍自重久しきにわたって遂に苦境を乗り越える。それは、日蓮聖人の教導に純真素直に従った成果であった。
陰ながらの徳行(とっこう)は必ず報われると日蓮聖人は言い教えてきた。四条頼基は、年余のはてに主君の信頼を回復し一陽来復の時を迎えたが、陰徳は果報の来る門口であったし、来るべき大果報の前兆だと日蓮聖人は、言い励ましたのであった。