心の散歩道

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2015年

人生の垢

七つの海を制覇した大英帝国海軍の軍艦が、進水して1年ごとに1センチずつ沈んでいったそうです。そのために速度は落ち、戦力低下が問題になりました。艦長はその原因が何であるか、船員に尋ねると「貝殻が船底に付いて速力が落ちるのでは」。また、別の船員は「駆動機関が古くなったためか」。 艦長は船員の意見に納得するも、どこか疑問が拭えませんでした。

艦長はあるとき、乗組員全員に全ての私物を波止場に下ろすよう命じました。船員たちはブツブツ文句を言いましたが、艦長の命令、軍規に背くことはできませんでした。波止場には、みるみるうちに持ち込まれた私物が山のようにうずたかく積まれたのでした。書籍・遊具・食器・ワイン・ウイスキーなどなど。軍艦をみるとなんと7センチも船体が上がったのでした。

艦長は船員たちに諭すようにこの事実を伝え「戦艦は敵との命を掛けての戦争武器である。如何に素早く、如何に効率よく立ち回るかが己の命を守ることにつながるのだ」、「不要なものは積み込まないようにしろ」と、厳しく叱咤したそうです。

私という船に、不必要なものをいっぱい積み込んでいる自分が居ることにはたと気がつきました。外面的身体にはお腹周りの脂肪・ぜい肉とタルミ、そして体力の低下、内面的精神には愚痴・不平不満・嫉妬・恨み嫉みと劣等感などいっぱい溜め込んでいるということ。人生の歴史と言ってしまえばそうかもしれませんけれど、身動きが鈍くなり小回りができなくなった身体、これからの人生の方向性を示せないでグチグチ思い詰めている自分の意思。いつの間にか溜め込んでしまった不要物件が災いしているのかと自分に言い聞かせ、廃棄物として出さないと船体が下がって沈没してしまうのではないかと心配しています。

これを「人生の垢」と言うのでしょうか。