心の散歩道

心の散歩道

2015年

本人に渡せ

ある日、電話が鳴りました。「お母さん、急にお腹の調子が悪くなったので、駅のトイレに駆け込み、カバンと携帯を忘れてしまった。取りに行ったけど無くなっていたので、駅の事務所へ届けたんだ。携帯が無く連絡をもらいようがないので、お母さんの電話番号を教えた。駅から問い合わせがあると思うので、聞いてくれないか、頼むよ」と息子らしき声で、話しました。

しばらくして、駅から電話がありました。住所、名前を聞かれ、家族は何人かと聞かれました。なぜ家族構成と思いましたが、素直に一人暮らしと答えました。

まもなく息子から電話が掛かってきました。「お母さん忘れたカバンの中に契約書が入っていて、大変なことになったんだよ。お金を払わなくてはいけなくなり、上司や、上司のお母さんまで助けてくださることになったんだ。僕も何とかしなくてはいけないので、助けてもらえないかなー。定期の百万円ぐらいあるだろ」と言うので、「一人暮らしの年金生活者に、大金があるものですか」と、言うと「現金五十万ぐらいないの?」と続けて言います。「あるわけないでしょう。私の暮らしぶり知っているでしょう」。そうしたら次に「それでは三十万ぐらいはあるだろう、出してくれよ。なぁ母さん」と少し強く言いました。もしかしたら息子ではないのかと、半信半疑だったので、「ああ、有るよ、出してあげるから、取りに来なさい。でもね、ほかの人とか、振り込みでは絶対渡さないよ。電車でもタクシーででも来なさい、久しぶりに顔を見せなさいよ、助けてあげるから」と言いました。そうしたら大声で「このバカたれが」と言って電話を切りました。

詐欺は親心をくすぐり、つけ込んで、仕掛けてきます。自分の子供は助けてやればいいのですが、詐欺に掛かってはいけません。直接会って手渡し、助けてやればいいのです。