
人工知能
市内から電車で帰った時のことです。車内は少し混んでいました。
大学生くらいの若い数人のグループが、笑顔で楽しそうに話していました。座席では、一人の女性が本を読んでいました。その他の人は全員、皆さん同じようにうつむき加減でスマートフォンを操作していました。隣の人のことは全く意識になく、スマートフォンに心を奪われていました。
スマートフォンは、人工知能の技術がぎっしり詰まった小さな魔法の箱です。遠くの人と通じあったり、さまざまな情報を引き出せたり、生活に関わる手続きができたり、画像や音楽やゲームまで楽しめます。もはや自分の一部になっているのでしょう。
ところが、精神的に自由な世界へ逃避できる見返りに、現実の温かい人間関係が、希薄になっていることは否定できません。
先日、NHKの朝の番組のコーナーで、人工知能の話題が放送されました。その中の一つに、今全国の福祉施設に需要が広がっている介護ロボットが紹介されました。一番の機能は、相手の話し言葉を認識して、自然な抑揚のある合成音声でしゃべり、話し相手になってくれることです。その人の顔を認識して、名前を呼んでくれたり、個人データから、その人の趣味に合った話題を選んで話してくれるのです。同じ話を何回繰り返しても、愚痴を言わず聞いてくれて、優しい言葉で相手をしてくれます。認知症の人の症状が改善された報告もあるそうです。その他に歌やダンスもでき、レクリエーション指導までしてくれるのです。まるで、幼い頃テレビで観た、手塚治虫の『鉄腕アトム』が現実化したようです。施設利用者の表情は、お孫さんをあやしているような格別な笑顔でした。
近い将来、スマートフォンのようにロボットが一人に一台の時代が来て、孤独の寂しさから解放され、家事や健康管理もしてくれて、人生の最期を家族ではなく、ロボットに看取ってもらうようになるのでしょうか。