
桜にみんながつどって
代々、桜守の佐野藤右衛門さんは、京都の円山公園にしだれ桜を67年前に植え、管理されています。その佐野さんは東日本大震災の後、何度も東北に行かれています。復興は進んでいますが、変わり果ててしまった場所にせめて、皆さんのために桜を贈りたいと場所を探されました。
その中で、宮城県の岩沼市に今年の2月、京都の佐野さんの園から30年ものの一本のしだれ桜が運ばれました。集団移転したその地区の中央広場に植樹です。地区の方も大勢協力されました。
「この地区の方は植樹の話が出た時から、もう桜の花見を思い描いていました。こんな嬉しいことはなかなかありませんよ」と佐野さん。
大震災に遭う前は、元の地区で毎年花見をしていたそうです。その桜も家もみんな流されてしまいました。もう花見なんかできないと諦めていたところに今回の桜の話です。
今年の春をみんな待ちわびました。4月、植樹したばかりの桜に花がつき、みんなで花見。もちろん京都の佐野さんも招待されました。
佐野さんに地元の方が話します。
「今でも震災でこんなことになり悔しさいっぱいです。涙がでますよ。でも、いつもの花見が私達の力になります。今年こうしてこのしだれ桜のお蔭で花見をすることができました。みんなが集まってくれてこんなにありがたいことはありません」。
佐野さんはこう話されました。
「先代から『桜は人に見られ、人が集まってこそ育つ』と言われてきたが、本当にこの場所に植えてよかった。桜に人が集まり楽しんでくれて、眺めてもらってこの桜も育っていくんです」
大震災で心が打ちくだかれていた地区の方々に、小さなともしびが灯ったようです。桜に人の心が動きます。