心の散歩道

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2017年

ばら寿司

先日、十三回忌の追善供養の後、亡くなられたお祖母さんの思い出を綴ったお手紙とともに、ばら寿司をいただきました。お祖母さんから教わったレシピによるばら寿司です。

「昔は、4月の始めに筍が出始め、5月のお祭りの頃に、蕗やエンドウが採れはじめると、ばら寿司の季節でした」で始まるお手紙には、ばら寿司を作る準備の様子やその過程が活き活きと描かれていました。

昔はよく各家庭でばら寿司を作っていました。ご法事後の食事の席にご一緒した際、私もそのご家庭自慢のばら寿司をいただきました。家々により母から娘へ、或いはお嫁さんへと伝えられたレシピは異なっていて、少しずつ具材や味付けが違っています。

すし飯の中に入る定番は、にんじん、ごぼう、れんこん、モガイ。上に貼る魚は穴子、酢でしめた鰆、茹でた海老、イカやタコ。干し椎茸、錦糸卵、紅ショウガ、絹さや、インゲンを色鮮やかにトッピング。すし飯の味付けもみな微妙に違っていましたが、いずれも手間のかかったごちそうでした。今はご法事の後、外に食事に出る場合も多くなり、そんな機会も少なくなりました。

ご法事には親族が集まり、法要後の食事をしながら昔話に花が咲き、大げさに言えば、その家の歴史が伝えられる場でもあったように思います。これも次第に集まる人が少ないご法事が増えて、お話が伝わりにくくなっているように感じます。

十三回忌を迎えたお祖母さんの思い出を綴ったお手紙には、ばら寿司にまつわる思い出と共にその家庭の歴史、お祖母さんのご苦労が簡潔に記されていました。

「子どもたちが次々に結婚し、長男に第一子を授かり、この家を守ってくれる命を繋いでもらえたことを誰よりも喜んでいるのは、本日十三回忌を迎えた祖母だと思います」と結ばれていました。