
ありがとう
「孫に初任給が出たんです」。そう言ってAさんがお寺に来られました。国家試験の合格祈願に来られたのが2月でした。お孫さんは見事に合格し、この4月からとある市役所に保健士としてお勤めです。
Aさんはいつもご家族のことを気にかけて、何事かあると守っていただきたいと、おひとりでも、時には娘さん、そしてお孫さんをお連れになってお寺にお詣りに来られます。
「ありがとう」と表書きされた可愛い封筒を見せてくださいました。「実は孫がね、初任給が出たからと。わずかなお給料なのになあ、記念にとその中から私にもくれたんです」中に手書きのお手紙が入っているのが透けて見えました。その手紙には、
「おばあちゃん今までありがとう。これからも応援してください」といったことが書かれていたそうです。
「もううれしくてうれしくて、涙が出ました。この手紙は私の宝物です。だけどね、このお金はもったいなくて使えないからお寺に持ってきました。どうぞお供えしてください。こうして無事に就職し、いい職場でみなさんにかわいがっていただけるのも、仏さまのおかげです」
今でもこんなに優しい心持ちのお嬢さんがいらっしゃるのですね。聞いていてこちらまで心が温かくなりました。このお嬢さんからは、お寺にも無事に就職できたお礼のお手紙をいただきました。
当たり前のことですが、家族がそれぞれを思い合い、一緒に悩んだり、励ましあったり、悲しんだり、喜んだり、そしてお互いに感謝を忘れないことはとても大切なことだと思います。その感謝の中に、いつも見守っている仏さま、ご先祖さま、つい先年亡くなられたご主人の存在を常にお子さんやお孫さんに伝えていらっしゃるAさんを、とても素晴らしいなと感じました。
菩提寺に深く心を寄せて支えに感じてくださっていることにも感謝です。