
皆さんのお陰で
ある朝のお勤めの時、突然お経と木鉦の調子が合わなくなりました。何度もお経をとめてやり直してみましたが、どうにもなりません。その日は、他に何も変わったことはありませんでした。しかし次の朝も同じように速い調子でお経を上げることができませんでした。さすがにこれはおかしいぞと思いながらも、他に変わったことがなかったので、忘れかけていました。ところが、夕飯の途中で、頭が痛くなって吐き気がしてきました。家内に頼んで、市民病院に連れて行ってもらいました。CT、MRIの検査の結果、脳梗塞と判明し、即入院となりました。
あれよあれよという内にいくつかの点滴が同時につながれ、ベッド上の生活になりました。検査と治療とリハビリの毎日が始まりました。
移動は車イス、点滴も24時間つないだままでした。食事もベッドの上で、あとは眠るばかりでした。段々と表情がなくなっていくのが分かりました。こんな時、正気を取り戻せたのは、お見舞いに来てくれた方々のお陰でした。家内は、毎日着替えと頼んだものを持って来てくれました。広島へ嫁いだ娘も、東京へ就職した息子も来てくれました。末っ子の娘も、学校帰りに来てくれました。年老いた腰の曲がった両親も来てくれました。妹も仕事帰りに毎日寄ってくれました。隣のお寺のお上人も来てくれました。自分よりも体調が悪かったり、お年を召した総代、世話人さんもお見舞いに来てくれました。台所お手伝いの女性陣も心配して来てくれました。
嬉しかったです。本当に嬉しかったです。こんなことではいけないと思い、ベッドの上で、朝勤を声を出さないでお唱えしたり、リハビリ以外にも柔軟体操をしたり、小学生用の文字練習帳をやりました。それからは、点滴の時間も減り、一人で病院内を歩く許可も出て、退院への目途が立ちました。皆さんの皆さんのお陰です。