
褒めて伸ばす
日本の一流女性アスリートを何人も育てた小出義雄監督がこの4月亡くなりました。岡山出身の有森裕子さんはバルセロナで銀・アトランタで銅メダル。Qちゃんこと高橋尚子さんはシドニーオリンピックで金メダル獲得、その他沢山の女性ランナーを世界に送り出し、大きめの黒いサングラスの監督として活躍されました。有森さんは、「東京五輪を一緒に観戦したかった」と涙ながらに語っていました。
小出監督は人となりを見いだす能力の持ち主だったようです。テレビ番組に出演されたとき、「人にはそれぞれ違った良いところがあるもんですよ。君の笑顔すてきだね。八重歯がとっても可愛いよ。髪の影に隠れてる耳が可愛いね。君は目が澄んでて僕の心の中まで見通してるみたいだね。君の指は白魚のようだね。走る姿が美しいねとか。人それぞれ、素晴らしいなにかを両親から授かっているんだよ。だからそれを見いだして褒めてあげると今まで積み重ねてきた練習以上の力を発揮すると信じているんだよ」
「褒めて伸ばすと言うことですか」
「そうだね。人の欠点や弱点をほじくってその人を落とし込めても何の成長にもならないし、かえって自分の知られたくない醜い部分をさらけ出してしまうことになるんじゃないかな。僕は自分が成し遂げられなかった夢を彼女たちに見つけ出したんだと思っているよ。でも、飲兵衛の僕によく付いて来てくれたもんだ。手に入れたメダルは彼女たち自身のご褒美だけどね」と赤ら顔で淡々と語っていた監督が脳裏に浮かんできます。
青年は未来を語り、壮年は今(現在)を語り、老年は過去を懐かしみます。後楽園の入園無料のシルバーカードを頂いた私ですが、青年の頃抱いた夢、いつの間にか濃霧に閉ざされて姿形の判別ができなくなっている自分が情けないです。小出監督のように若者に自分の抱いた夢を現実の物にする眼力が欲しいです。