
西日本豪雨
平成30年7月6日、50年に一度の大雨が降っていました。
真備町箭田の家に、女性3人がいました。お祖母さんと、そしてお母さんと、その子の高校生の孫娘でした。
午後11時半ごろ、便所のほうから「ゴボッ、ゴボッ」という音がしてきました。「なんだろう」と便所を覗いてみると、汚水が逆流してきていました。雨音で会話も聞き取れなく、近所の様子も分からないのですが、「これは異常だ」と体感できました。
玄関のドアの下から水が、「じわじわ」と入って来だしました。まもなく床上に水が上がって来だしました。
「これは大変だ」とお祖母さんは、貴重品の入った小タンスを手元に置きました。孫娘は教科書をカバンに入れています。
水は休むことなく部屋を浸水して、ひざ上、腰と増えて来ています。3人は2階への階段を、1段ずつ水を見ながら水に攻められて、上っていきました。水は1階を埋め尽くして、2階の床を濡らしてきました。2階の窓を開けて、3人はベランダに移りました。広い空間に出たので少しだけ、「ホッ」としました。お隣も同じように浸水し、小さな子供が大声で泣いています。
お祖母さんは小ダンスのことを、すっかり忘れてしまっていました。そして、ご先祖様のことを思い出しました。「お位牌を持ちだすことを忘れていた」とお母さんに言いました。
お母さんはズーと胸に包んだものを、抱いていました。「大丈夫、お祖母さん、ここにご先祖様のお位牌はあります」と言いました。
ゴムボートが来たので、「お隣の小さい子供を先に助けてやってください」と頼みました。
「家は全壊になったけれど、今は家族全員が無事だったことが一番です」とお祖母さんは言いました。
被災者の一日も早い復旧をお祈りします。