
臨終
昨年の夏、ご近所のご住職がお亡くなりになりました。
ご住職は4月に脳梗塞で倒れ、一命は取り留めることができましたが、後遺症が残りお寺の仕事ができなくなりました。7月には退院し、なんとか普段の生活ができるまで回復しましたがお寺のお勤めはできませんでした。
お盆の法要の日が近づいて参りました。それとなくご住職に法要に出られますかと尋ねてみましたが、返事はいつも「無理じゃ」の一点張りです。
いよいよ法要の日を迎えました。早朝から、檀家の皆さんが準備を行い、ご住職も不自由ながら祭壇や飾り付けなどをお手伝いしてくださいました。午前中の準備が終わる頃になると、突然ご住職が「法要に出る」と言いだされました。お昼を済ませ、気が変わらないうちにすぐに法衣の準備、法要で座る場所に椅子などを準備しました。
ご住職は久しぶりの法要でしたが、檀家の皆さんと一生懸命にお経を唱えられました。法要が終わりますと皆さまに対して、長い間の入院生活で迷惑をかけたことのお詫びと、留守中にお世話になったお礼を述べられ、法要は無事に終えることができました。
法要が終り2日後の朝のことです。奥様からご住職の体調が急変された連絡が入り、すぐに病院に駆けつけました。病院の先生も懸命の治療に当たってくださいましたがその日の夕方、ご住職は亡くなられました。これから奥様とゆっくりと生活をされ、リハビリをしながら回復を願われていたことと思います。残念でなりませんでした。
幼いころにご両親を亡くされ、ご苦労の多かったご住職には様々なことを教わり、お世話になりました。最後の法要では、仏様と檀家の皆さまにご挨拶をされ、最後の仕事は終わったと言わんばかりに、その2日後に最後を迎えられたのです。多くを語られませんでしたが、ご住職の最後に人の命の儚さを改めて感じました。