
新しい自転車
昭和61年、入寺して以来、近隣のお檀家さんのお経回りは、自転車で回っています。最初の自転車は、先代上人が乗っておられたものを使わせていただきました。10年以上乗っていると、ペダルのあたりにガタが来て、乗りづらい状態になってしまいました。
そのころ、家内が十数年乗っていた自転車のタイヤがすり減ってパンクしたので、買い換えることになりました。それならばと、お下がりの自転車をもらって、修理に持って行きました。自転車屋さんは、「タイヤ交換は高いけど、メーカー品じゃからまだまだ乗れますよ」と言って、ピカピカに磨いて仕上げてくれました。しばらく間に合わせに乗ろうと思っていたのですが、「メーカー品じゃから」と言う言葉がいつも脳裏から離れず、サドルやタイヤを交換し、壊れたところを修理しながら、いつしか十数年が過ぎていました。
ところが昨年のこと、車軸のあたりで、ギーコギーコ、ガチガチと異様な音が出るようになりました。自転車屋さんは、「こりゃベアリングがいっとるわ。こんなになるまで乗っとるのを見たのは久しぶりじゃなあ」と言いながらも、見事に調整してくれました。
それから1年、自転車でお経回りをすませ、帰路をゆっくり走っていました。少し先の信号が青になったので、スピードを上げようとペダルを踏み込んだ瞬間でした。バキッと鈍い音がして、車軸からスポークを留めたリングがずれ、タイヤがよれて、危うくつんのめりそうになって止まりました。そのまま、自転車屋さんに押して持って行くと、「こりゃあ新しいのを買われえ」といわれました。
ついにその時が来たのですね。家内が乗っていた期間と併せて30年以上も頑張ってくれた自転車さん、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。