心の散歩道

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2022年

笠地蔵

お盆経の時、いつも通る道端にお地蔵様が祀られています。暑さの厳しいある年の夏に麦わら帽子が被されてありました。ご近所の方の心遣いでしょうか、何とも微笑ましいお姿に「笠地蔵」のお話を思い出しました。むかし話でご存知の「笠地蔵」、貧しくも心優しい老夫婦のお話です。

お正月のお餅を買うお金も無かったおじいさんは手編みの笠を売りに町に出かけます。しかし、笠は売れ残り帰路につきます。その道中、村はずれの6体のお地蔵様の所まで帰ると雪が降り出しました。お地蔵様の頭にも雪が積もってきます。心優しいおじいさんは売り物の笠をかぶせていきますが、笠は5つ。1つ足りません。申し訳なさそうにおじいさんは自分の笠をお地蔵様にかぶせ、深々と手を合わせおばあさんの待つ家に帰っていきます。

家に帰り、おばあさんにそのことを話しますと、おばあさんは「それは良いことをされました」と大変喜ばれたのです。しかし大晦日というのに御馳走は一切なく寒い風が吹く中、寝床につきます。

翌朝にはご存知の通り、お地蔵様から金銀財宝やご馳走が玄関先に届き、心優しい老夫婦は帰りゆくお地蔵様の後ろ姿に手を合わせ、幸せに暮らされたというお話です。

恩返しの昔話でよく知られるこの笠地蔵の話は地域によって笠と簔であったり、白木綿であったり色々ですが、物語の大きな流れは、見返りを求めない施しの大切さではないでしょうか。私たちはつい見返りを求めたり、できなかったことを責めてしまいがちです。自分の笠まで差し出し見返りを求めないおじいさんの施しの心。そして年越しに食べるものが無くても、そのおじいさんの施しを温かく受け入れるおばあさんの優しい心。

改めて心がけたい大切なことだと思いました。