
一本千円の大根
「六十の手習い」と言いますが、この歳になって、5月ごろから畑仕事を始めました。十何年も放り畑になっていたのを、畑にするという爺さんの一大事業です。
スコップと鍬で始めましたが、とても体力が持たないと自覚しました。
「畑を始めたが、手動ではとても追っつかん、中古の耕運機はないだろうか?」と何かと協力して下さる人に相談しました。次の日には使用者と同様な古ぼけた耕運機が届きました。
コトコトとやっているのを見て、近所の親切な人が、トラクターを持ってきて、耕地を広げてくれました。
始まりの1坪ほどの畑が、だんだん広くなっていきます。苦土石灰、堆肥を買って、霜崩れの土も入れます。
ピーマンと茄子の苗を貰い、きゅうりの接ぎ木苗を買い、それぞれを婆さんの思惑の所に植えました。
婆さんが「こりゃあ!、一本五百円ぐらいの胡瓜になるでー」といいました。
猪さんがおいでになるようになりました。捕獲の檻を置いてあるのに、入口まで来ますが、入りません。
電気柵の線を引きまわしました。しかし、電気の通じない線だけなので、いつ強行突破されるか分かりません。
次の春先には「鳴門金時を植え、トウモロコシも植えましょう」と婆さんが言っています。猪さんの大好物を植えるということは、間違いなく畑にお入りになるでしょう。
入られたらシャクなので、電気柵の本体を買いました。猫の額ほどの畑に、物凄い出費です。また婆さんが言いました。「一本千円の大根になった」と。