心の散歩道

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2023年

ご加護

先日お寺で檀家さんの法事がありました。コロナの影響ばかりではなく、昔に比べて家族の人数が減っていることもあり、最近では少人数の法事も少なくありません。この時も、お母さんと2人の娘さんのあわせて3人のお参りでした。早くに亡くなった父親の年回忌法要です。父親はこの母子にとってはあまり良い夫、良い父親とは言えなかったようで、亡くなる前から別居をして疎遠になっていました。それでも年回忌の法要やお盆のご供養は欠かさずに続けています。

読経が終わってからお話をしていますと、お母さんはしきりに将来への不安を語られます。お母さんは70代ですが生活のためにまだ勤めに出ています。2人の娘さんは40代で、いずれもまだ結婚していないので一緒に暮らしています。娘2人も仕事に行っていますが、妹さんは身体的なハンディキャップがあり、作業所に勤めに行っている状況です。それ故、お母さんは一層心配している様子です。

「私にもしものことがあったら、姉1人にすべての負担がかかってくることが心配で…。どうしたらいいんでしょう」と話しながら涙ぐんでいらっしゃいます。

「でも、妹は作業所に行く前に毎朝、お仏壇に手を合わせて、お茶とご飯をお供えしてくれるんです。『お父さん、私たちを守ってね』と言って。この子の父親は自分の小遣いに困ったら、一生懸命お年玉を貯めた娘の貯金にまで手を出したりしていたのに。『私たちを守ってね』と言って手を合わせるのはこの娘なんです」とまた涙を流します。優しい母親と娘さんです。

「日々法華経・お題目でご供養なさっていればご加護がありますよ。お釈迦さまのみもとでご修行されているお父さんもきっと娘さんたちを守ってくれますよ」と申し上げました。