
海底の悲しみを知って
金子みすゞさんの『大漁』という詩があります。
朝焼小焼だ 大漁だ
大羽イワシの 大漁だ
浜は祭りの ようだけど
海のなかでは 何万の
イワシのとむらいするだろう
みすゞさんはたくさんの優しい視点の詩を残しています。港では大漁を喜びお祭りさわぎ、でも海の中ではたくさんのイワシが網にかかり、その弔いが行われているのではないかと。私たちが見過ごしてしまいそうな優しい見方をされています。
今、世界で戦争が続いています。みすゞさんのような思いやりの心があれば、戦争なんて絶対にありません。何も言えない市民や子供たちが何人犠牲になっているのでしょう。『大漁』の詩の海の底のような、人しれない場所で多くの方が涙を流しています。悲しいことです。
金子みすゞさんは、昭和5年に26歳の若さで亡くなられています。日本が戦争に向かい始めた頃のことです。みすゞさんのような優しい気持ちをなぎ倒して争いを始めてしまいました。
今も世界中が戦争の恐怖に覆われているように思えます。一人ひとりかけがえのない尊い命です。どうか、争いのない世界に、戦争のない世界にと祈ります。いのちに合掌です。
みすゞさんの詩をもう一つ。
鯨法会は春のくれ
海に飛魚採れるころ
浜のお寺で鳴る鐘が
ゆれて水面をわたるころ
沖で鯨の子がひとり
その鳴る鐘をききながら
死んだ父さま母さまを
こいしこいしと泣いてます