
感謝
森の中で動物たちが、暮らしていました。タヌキは年寄りになり、仕事がきちっとできなくなりました。その仕事は誰でもできる仕事ではありませんでした。
キツネが同じ仕事をしているので、頼むことにしました。キツネはそう仕事がなかったので、感謝して、こころよく受けました。
タヌキが「ここへ行って、仕事をしてください」とキツネに仕事の段取りをして、行ってもらいました。
キツネは仕事料をタヌキに見せて「タヌキさん、仕事をさせてもらい、ありがとうございます。私も仕事をしたので三十%貰います」と言って渡しました。
そのうちタヌキからの、仕事がだんだん増えてきました。キツネは「こんなに忙しいのに、タヌキは何もしていないのに、七十%もやらなくてはいけない、反対にして三十%をやろう」と取り分を逆にしました。
キツネは三十%も惜しくなりました。とうとうタヌキに少しも渡さなくなりました。
タヌキは生活に困るようになりました。そして、知り合いに「最初は七十%、それが三十%になり、今はなにもくれなくなった。仕事をさせてやっているのに」と愚痴を言うようになりました。
噂を聞いた森の王様が、キツネとタヌキを呼び出しました。
「君たちはお互いに最初の時の『感謝』を忘れているだろう。タヌキはキツネの悪口を言ってはいかん。感謝を忘れている。キツネの素性が、読めなかったのがいけないのだ。キツネは仕事がないのに、仕事をさせて貰う感謝を忘れてしまっている。取り分は五十%づつにしなさい」と裁きました。