
どうされました
車の前に猫が飛び出して来ました。慌ててハンドルを切ったので道から外れ、雑草の中を10メートルほど進んで、山肌に激突して止まりました。幸いケガはありませんでした。
事故になったら、車から出て安全な所で、心配そうに立っているのが、一般的なやり方ですが、外は寒いので車の中に居ることにしました。
窓を開けてみると動くようです。いつでも外に出られるので、安心して、次の行動にかかりました。
携帯電話を出して、家内に知らせます。「車落としたの? だから気を付けなさいと言っているでしょう。レッカー頼んで、上げて貰いなさい。私は行きませんから」と、つれない応答で終わりました。
レッカーの会社に依頼すると「到着まで1時間以上、掛かります」と、いうので、待つより仕方がありません。
よく見える道路脇だったので、通りすぎた車がバックして運転手が降りて、覗きこんで声を掛けてくれます。
「どうされました?出られないのですか。救急車を呼びましょうか?」救急車を呼ばれてはいけないので「ハンドル操作を誤り落ちました。胸を打ちましたが大丈夫です。引き上げのレッカー車も依頼しました。外は寒いので、こうしています」と、次々と止まる車に窓を開けて同じ説明をして、お引き取りを願います。
「ありゃ。お上人どうしたん?」間の悪いことに知り合いが顔を出しました。噂が伝わるのを少し心配します。次は妙齢の婦人が覗きました。
「まあ大変でしょう。大丈夫でしたらこれでもどうぞ」と、あめ玉を1個くれました。あめ玉を舐め、野次馬が覗かないように、レッカー車が早く来るように、祈りました。
日蓮聖人が「災難の時も楽しい時も、夫婦で酒を酌み交わして、分かち合いお題目を唱えなさい」と、言われていますが、家内の見幕ではその雰囲気に成りそうもありません。