
噺家
放送50周年を迎えた人気番組「笑点」、5月22日をもって大喜利の司会の桂歌丸さんが、六代目を春風亭昇太さんにバトンタッチしました。歌丸師匠は初回からのレギュラーで、半世紀も出演しているので「笑点の化石」と言われているそうです。四半世紀前に円楽(先代)・小円遊・歌丸の掛け合いは会場を沸かせていました。今でも目を閉じると当時の映像が思い出されます。
その歌丸師匠が最後の挨拶で「最近の若いもんはチャンと挨拶ができん。『ありがとうございます』『お世話になります』『ごめんなさい』が言えない。情けないことだ」と苦言を呈していました。傘寿を迎えた落語家の人生を、締めくくっているように思えました。
落語家のことを噺家または咄家とも言います。「噺」は口から新鮮な洒落た言葉、「咄」は口から出任せは言いすぎかもしれませんが斬新なダジャレを想像させますね。ハナシ家は小話に始まって小話で終わると言われるそうですが、一つ一つの言葉の中に息吹を吹き込み扇子と手拭いで所作を添えて落語を聞かせるのですね。
この春に社会人となった若者たちの新入社員教育が佳境に差し掛かっているころです。学生時代にはぞんざいな言葉遣いや生活習慣をしていた若者たちは、躾け直しされて苦しんでいることでしょう。社会には先輩後輩の差があること、言葉も時と場所と相手を考えて使い分けしなくてはいけない現実、身をもって体験していることでしょう。同輩ならばともかくも、上司に対してあるいはお客様に対して失礼な言動は許されないのが社会人である証しなのです。
小学校から大学卒業する10数年の間に、キチンとした言葉遣いを身につけていれば、何ら問題はないはずですが、どのあたりの歯車が違っていたのか…。
歌丸師匠の最後の苦言は、今の時代に対する忠告であり、警鐘と言えなくもないですね。